【「ルパン三世 PART6」リレーインタビュー】大塚明夫「僕のなかの次元大介を守る」――小林清志から受け取ったもの

2021年10月8日 00:00

取材に応じた大塚明夫
取材に応じた大塚明夫

いよいよ今週末、10月9日から放送がスタートする「ルパン三世 PART6」。映画.comとアニメハック(https://anime.eiga.com/)で実施してきたキャスト5人のリレーインタビュー、最後に登場するのは、「PART6」でひときわ大きな注目を集めている次元大介役の新キャスト・大塚明夫小林清志から役を引き継いだ経緯、キャスト交代発表時の小林のコメントをどう受け止めたのか、世間の反響は届いているのか、そして “初代・石川五ェ門”だった父・大塚周夫さんについて――リモートインタビューで話を聞くと、それらすべての質問に真っすぐに答えてくれた。(取材・文/編集部)

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出演を決断するまでの複雑な思い
他の誰かがやるなら「自分が演じて叩かれたほうがいい」

「ルパン三世」の次元大介役は、1971年のアニメシリーズ開始当初から約50年にわたって、初代キャストである小林が演じ続けてきた。ひとりの役者が半世紀をかけて作り上げてきたキャラクターを引き継ぐ――バトンタッチのはじまりは事務所へのオファーだった。

「事務所から『次元をやってください』と言われました。その時は、最初に『清志さんの身に何かあったのか』ということがよぎり、プレッシャーとかそういった気持ちはありませんでした。清志さんが無事だと聞き、『ああ、よかった』とほっとして……そこからは大変なプレッシャーでした」

オファーを受けるという決断をするまでには、複雑な思いがあった。「僕自身が小学生の頃から『ルパン三世』の大ファンだったので、『次元大介から清志さんじゃない声がする』ということに納得しかねるような思いがありました」。大塚がそんな思いに駆られようとも、キャスト交代という現実は覆らない。「次元から清志さんじゃない声がする」「自分がオファーを断って、他の誰かが次元をやる」そのどちらが嫌か。そう考えた末に、「他の人が演じているのを見て寂しい気持ちになるよりは、自分が演じて叩かれたほうがいい」という思いに至ったという。

「自分が叩かれる分には、自分のせいだから受け止めるしかない。その方がまだ納得がいくかなと思いました。そして『喜んでやらせていただきます』ということになりましたが、やはり複雑です。うれしい思いに負けないだけ、嫌だなという気持ちが……せめぎ合いました。初代がいいに決まっています。50年ですから」

また「ルパン三世」といえば、大塚の父で声優の大塚周夫さんが“初代・石川五ェ門”を務めていた。そのことについては、「親父も長いことやって、いろいろ作ってきた人ですから。他の作品でもそうですが、どこにいっても親父の足跡があるんだなと感じます」と感慨深げに語っていた。

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大塚のもとに届いた“初代の言葉”
「清志さんの言葉が50年の重みをもってのしかかってきた」

オファーを受けた後は、小林に会うことなくアフレコ初日を迎えたという。大塚はこの時の心境を「本当は清志さんにご挨拶に行きたかったのですが、『来られてもどうなんだろう』という思いもあり、ご挨拶できないまま動き出してしまいました」と告白。いざアフレコがはじまると「へとへとになりました。自分の声が入った次元のセリフを聞くと、やっぱり『これは次元じゃない』という思いがあるんです。自分の中に、50年分の蓄積があるので『これは確実に違う』とわかってしまう。すごく苦しかったです」。

そんな大塚を救ったのは、やはり“初代の言葉”だった。「お手紙でヒントをいただきました。あの手紙で、霧が晴れたような、地獄のなかに蜘蛛の糸が垂れてきたような救いを感じました」。手紙というのは、キャスト交代の発表時に公開された小林のコメントのことだ。

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大塚のもとに小林のコメントが届いた時、1クール目のアフレコは「ほとんど終わっていた」そうだが、小林のコメントに「江戸っ子、JAZZというヒントをいただき、役を作っていくうえで、この先の道が見えました」と、今後の大きな指針となるものを得たという。

また、それと同時に、“受け継いだものの重さ”も思い知らされた。

「僕は第1シーズン(PART1)からリアルタイムで見て育っているので、清志さんのあの言葉が50年の重みをもって僕にのしかかってきました。清志さんは、(コメントのなかで)90歳までやりたかったとおっしゃっています。そのうえで僕にヒントをくれたんだなと思うと、ありがたいし、涙が出そうになりました。あの手紙で、とてつもない宝物をいただいたと思っています」

そして、小林の言葉に返す形で大塚もコメントを寄せた。

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2人のコメントとともにキャスト交代が発表されたのが9月7日。すぐさまSNSのトレンドに入り、「『世の中がこんなにざわざわするんだ』とびっくりしました。同時に、それだけ『ルパン三世』の次元大介という役が大きいということをひしひしと感じ、おののきました」。大塚演じる次元に対しては好意的な意見が多かったが、そういった反響については「エゴサしました(笑)。次元大介で検索したら、そういう声が多かったのでほっとしました」と明かしていた。

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「新しい次元大介を作ろうとは思っていない」
大塚明夫が守り、踏襲していくもの

リレーインタビューでは、栗田、浪川、沢城、山寺の4人が新メンバーである大塚への思いを語ってくれた。「ものすごく頼もしい」(栗田)、「代わりは明夫さんしかいない」(山寺)、「大塚明夫さんという素晴らしい役者さんであっても、緊張すると思うし、プレッシャーもあったと思います」(浪川)、「並々ならぬ思いと、並々ならぬ清志さんへの敬意と、並々ならぬ技術をもって挑んでいらっしゃる」(沢城)――彼らの言葉を伝えると、大塚は「そう言ってくれてありがとう」と4人に感謝を述べ、「栗田さんとは、『ルパン三世』のスペシャル版で何度かご一緒させていただきましたし、他のみんなはよく知っているメンバーなので、本当に助かりました。栗田さんは、納谷悟朗さん、小林清志さん、井上真樹夫さん、増山江威子さんという錚々(そうそう)たるメンバーのなかにひとりで入ってがんばったわけですから、それと比べたら僕はなんて楽をしているんだろうと思います」と吐露していた。

バトンタッチが正式発表され、間もなく「PART6」の幕が上がる。栗田が「新しいメンバーでここからスタートです」と話していたように、大塚も「これからだと思います」と未来を見据えている。

「僕自身の新しい次元大介を作ろうとは思っていないんです。なぜかというと、僕自身が次元大介の大ファンで、次元は次元であってほしいんです。モノマネをしようということではなくて『僕のなかの次元大介を守る』というのかな。清志さんが作った次元大介を踏襲していきたいなという思いがあります」

インタビューの最後に、「放送を間近に控えた今の、一番大きな気持ちは?」と聞くと、大塚は最後まで真っすぐに答えてくれた。

「プレッシャーも大きいのですが、それに負けないくらい『ポジティブにいきたい。毎日でも次元の芝居がしたい』という思いあります。1日も早く清志さんに近づきたい。それと同時に、そんなことができるのかというプレッシャーも……ないまぜになっています」

(映画.com速報)

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