山田洋次監督、「キネマの神様」に込めた狙い 実在した食堂をモデルに
2021年7月3日 09:00

松竹映画の100周年を記念し、人気作家・原田マハ氏の小説を山田洋次監督が映画化した「キネマの神様」。劇中に登場する食堂は、1950年代頃に助監督として働いていた山田監督が通った実在の食堂がモデルになっており、山田監督が歩んできた日本映画界の思い出が反映されている。
本作は、かつては撮影所で働き、何よりも映画を愛していたが、家族には見放されたダメ親父のゴウを主人公に、時代を超えて繰り広げられる愛と友情の物語。映画を深く愛する主人公ゴウの現代と過去を沢田研二と菅田将暉が2人1役で演じている。
若き日のゴウ(菅田)は、映画監督になるという夢を追いかけ撮影所で奔走する熱い青年。ゴウら映画関係者は、淑子(永野芽郁)が働く撮影所付近の食堂「ふな喜」に足しげく通っていた。
昔の松竹の大船撮影所近辺には似たような食堂がいくつもあったようで、山田監督は「かつての食堂での会話は映画に関する議論や、意見が熱く交わされていました。若者たちが熱心に芸を語り合う時代であった気がします。僕らが今思い返しても、この時代の日本は元気だったなと。そういう時代の青春を今描くことがこの映画の大きな狙いだったんです」と、本作に込めた思いを明かす。
「ふな喜」は、若き日の山田監督も通った「松尾食堂」がモデルとなり、本作の撮影では山田監督が当時食堂で働いていた方と再会を果たし、思い出を振り返ることでゴウたちが夢を語り合うシーンの構想が練られたそう。今は無き温かな場所を再現し、希望を抱く若者を描くことで、今を生きる人々への“エール”も込められている。
「キネマの神様」は8月6日から公開。
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