【「ワンダーウーマン 1984」評論】重要となる時代設定。拡張されたスケールは劇場でこそ価値を放つ!
2020年12月19日 14:00

配信を主とするアメリカに対し、日本では劇場公開という展開になった「ワンダーウーマン 1984」。細かな事情はさておき、作品を観た限り、この判断は正解だったと思える。まさにビッグスクリーンに呼応したスケールで、描かれる世界が拡張されているからだ。
前作から長いスパンを経て、舞台は1984年。長命種族であるアマゾン族のダイアナ(ガル・ギャドット)は、キュレーターとして日々を生き、ときにワンダーウーマンとなって秘密裏に正義行動をおこなってきた。
そんな彼女の職場に、古代の天然石が持ち込まれる。だがこの石こそ、人間の願望を成就させる神秘のシトリンで、思いがけず願いを唱えたダイアナのもとに、世界を救うために犠牲となったスティーブ(クリス・パイン)が現れる。しかし同時にその石は、野心的な原油ディーラー、マックス(ペドロ・パスカル)の独裁的な計画と、ダイアナに憧れ「強くなりたい」と願う同僚バーバラ(クリステン・ウィグ)の欲望を誇大に実現化させ、世界を、そしてワンダーウーマンを窮地へと陥れていく。
こうした三つ巴の錯綜展開が、ドラマに巨大なうねりをもたらし、映画をスペクタクルなものに変容させていく。1984年に設定された時代も一見、DCがMCUの「キャプテン・マーベル」(19)の90年代レトロに対抗したかのように思えるが、核を抑止力とする米ソ関係やSDI構想、加えて中東の石油政策など、同時代の社会情勢が至妙に物語に作用していくのだ。もちろん80`sカルチャーのヴィンテージ感がもたらす笑いもあるが、次第によってはタイトルが連想させるオーウェルの「1984年」ばりに、ディストピアを生み出しかねないスリリングなものだ。
なにより冒頭、セミッシラのレース競技で不正をおこない勝利しようとした少女ダイアナの「嘘から真の英雄は生まれない」という戒めが、自身の葛藤、ひいては人の虚栄心や欲望を試す主題として機能していく。また宿敵チーターの登場も、ワンダーウーマンの鏡像であり、表裏一体の存在としてダイアナを苦境に立たせる。スティーブもただ再登場するのではなく、ダイアナにとって正義の意味を再考させる役割を担うのだ。
こうした中で、ダイアナはワンダーウーマンとしての真の有り方を認識し、困難な試練へと立ち向かっていく。今回キービジュアルで彼女がまとっているゴールドアーマーは、それを象徴する重要アイテムであり、しなやかさが特徴的なワンダーウーマンのアクションにダイナミックな飛翔性を加味させている。小林幸子のステージ衣装みたいだとタカをくくっていると、映画のとてつもない規模と同等に驚かされることになるだろう。
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