17年にわたり無名の野党議員を追った「なぜ君は総理大臣になれないのか」監督、続編に意欲 タイトルは…?
2020年10月31日 16:00

第21回東京フィルメックスで10月31日、「なぜ君は総理大臣になれないのか」が日本語字幕、音声ガイド付きバリアフリー上映され、大島新監督が観客とのQ&Aに応じた。
それまでほぼ無名だった小川淳也議員を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。2020年6月に都内2館で公開されると連日満席、口コミが広がり上映劇場は70館を超すなどドキュメンタリーとしては異例のロングランヒットを記録している。
大島監督は、「ドキュメンタリーは被写体との距離感が大事。取材者としてどう介入していくかが頭を悩ませますが、それが持ち味になる」「ドキュメンタリーは“右手に花束、左手にナイフ”だと思っている。花束で(取材対象者を)『好きです』だけだと作品にならないし、見せたくないものも撮らないといけない。2019年の選挙の逆風、小川さんの間違った判断も捉えなければと思って取材をした」と自身のドキュメンタリー製作における哲学を語る。
聞き手を務めた音声ガイド製作者が、本編で小川議員が選挙カー内で大島監督に意見を求めるシーンで、小川議員の信頼感、迷いや葛藤が表れているようだったと指摘すると、「ドキュメンタリーの神が降りてきたというシーン。あのシーンは間が大事、そのまま間を伝えたほうが彼の苦悩が伝わると思った。音声ガイドでは、どこまで伝えるのに迷いがあった」と答えた。
本作を5回見たというリピーターから、続編製作について問われると「今、政治家は保守もリベラルも言葉が汚くなっているのが残念。世界的な傾向なのかもしれませんが、日本でもそうですし、政治家だけでなくSNSの世界でもどんどん言葉が汚くなってしまっている中で、小川さんのような政治家の在り方を問い続けていくことに意味があるのでは。続編の公開ができるかわかりませんが、撮影は始めています。今回は選挙をクローズアップしましたが、もう少し政策立案にも焦点を当てていきたい。4,5年後公開されるとしたら、タイトルは『まさか君が総理大臣になるとは』になればいいなと。ならなくても、ある一人の政治家の記録として残したい」と明かした。
最後に小川議員の魅力について「一言でいうと正直者。最初に会ったときに、こんなに心の底から社会をよくしたいと、衒いもなく言える人っているんだなと思った。小川さんの場合は本気度が心の底から出ているので頭が下がる。もちろん人間なので弱いところもあるし、間違いをしないということはないですが、誠実であることは今後も変わらないと思う」と語った。
第21回東京フィルメックスは11月7日まで、TOHOシネマズシャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町(レイトショー会場)、有楽町朝日ホール他で開催。「なぜ君は総理大臣になれないのか」は、ポレポレ東中野ほかで公開中。
(C)ネツゲン
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