本国アルジェリアで上映中止、“暗黒の10年”で自由を求めた少女達の青春描く「パピチャ」公開
2020年7月7日 12:00

[映画.com ニュース]昨年の第72回カンヌ国際映画祭・ある視点部門に正式出品され、世界が絶賛するも、本国アルジェリアでは当局により上映中止となった映画「PAPICHA」(原題)が、「パピチャ 未来へのランウェイ」の邦題で10月30日に公開される。このほど日本版予告編とビジュアルがお披露目された。
本作は、物語の舞台であるアルジェリアに17歳まで暮らし、この映画が長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥール自身の経験から生まれた物語。アルジェリアで1991年に始まった内戦、いわゆる<暗黒の10年>を舞台に、イスラム原理主義による女性弾圧の真実を、ファッションデザイナーを夢見る少女の視点で瑞々しく描く。タイトルの“パピチャ”とは、アルジェリアのスラングで“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”を意味する。
第72回カンヌ国際映画祭では、媚びず、流されず、自らのために立ち向かう少女達の力強が、性差による抑圧に対する解放の賛辞だとして話題を呼んだ。しかし、昨年12月に大統領選を控え政治情勢が不安定となっていた本国アルジェリアでは、昨年9月に実施が予定されていた先行上映が当局によって説明なしに中止され物議を醸す事態となった(2020年3月時点で未だに本国での公開には至っていない)。
メドゥール監督は、本作に寄せて「この映画が、女性たちの心の扉を開き、声を上げるきっかけになることを願ってやまない」とコメント。主人公ネジュマを演じるアルジェリア出身のリナ・クードリは、ウェス・アンダーソン監督最新作「The French Dispatch」ではティモシー・シャラメの相手役として、2021年フランスで公開予定のディオール全面協力映画「Haute Couture」では主演への抜擢など注目作への出演が続くブレイク間近の新進女優。今作でセザール賞で有望若手女優賞を受賞した。
1990年代、アルジェリア。ファッションデザインに夢中な大学生のネジュマはナイトクラブで自作のドレスを販売している。夢は、世界中の女性の服を作るデザイナーになること。だがイスラム原理主義の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターがいたるところに貼られるように。従うことを拒むネジュマはある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来のため、立ちはだかる障害と死の匂いに屈せずに命がけでファッションショーを行うことを決意する。
「パピチャ」は、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。
(C)2019 HIGH SEA PRODUCTION - THE INK CONNECTION - TAYDA FILM - SCOPE PICTURES - TRIBUS P FILMS - JOUR2FETE - CREAMINAL - CALESON - CADC
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