神楽坂の名画座ギンレイホール、映画文化の“灯”を守るためクラウドファンディングに挑戦
2020年6月19日 16:00

[映画.com ニュース]東京・神楽坂の名画座「飯田橋ギンレイホール」が、コロナ禍を乗り越えて名画座文化を継承するため、クラウドファンディング「開館60周年ギンレイホールの挑戦!」を開始した。クラウドファンディングプラットフォーム「MotionGallery」にて、7月31日午後11時59分まで行われ、目標金額は1000万円。支援金は、映画館の家賃支払い、デジタル映写機の保守費用など、映画館の運営に使用される。
「飯田橋ギンレイホール」の前身は、木造1階建ての「神楽坂銀鈴座」という松竹系の封切館だった。しかし、1958年年12月、火災により全焼。60年に5階建ての銀鈴会館ビルが再建され、冷暖房完備289席を備えた「銀鈴ホール」が新たに誕生した。74年に現在のスタイルの名画座「ギンレイホール」になり、これまで洋画、邦画を問わず、数多くの作品を上映。今年は「銀鈴ホール」の再建から数え、通算60周年を迎えることになった。
同館は、コロナ禍によって、4月8日から2カ月間、休館を余儀なくされた。年中無休の映画館として、2カ月ものの間、映写機を止めたのは初めてのことだった。2月中旬からの観客減少に始まり、営業自粛要請による完全休業の損失は甚大。6月の再開後も、観客の安全安心のため、座席は半数以下に間引き、上映回数を減らしながら、営業を行っている。しかし“フル稼働”には程遠く、人件費などのコスト削減を続けているが、このままの状態では、コロナの完全終息まで劇場を維持していくことが難しい状況となっている。
今回のプロジェクトは「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」の長期戦を見据えたもの。シネマクラブ会員のみならず、ギンレイホールを長く愛する“全てのファン”のため、そして神楽坂の映画文化“名画座ギンレイホールの灯”を守り抜く決意が込められている。
クラウドファンディングは、「MotionGallery」(https://motion-gallery.net/projects/ginreihall)で実施中。支援コースは、3000円~20万円まで用意されており、リターンとして「1年間ギンレイホールへ入場可能なギンレイシネマクラブ年間パスポート(シングル、ペア、グループ各種)」「オリジナルTシャツ」「トートバッグ」「クリアファイル」「フィルム缶」などがある。
なお、今回のプロジェクト発足に際して、同館の館主・加藤忠氏が、以下のメッセージを発表している。
「今日社会ではデジタル化の促進とオンライン事業の拡充が叫ばれているなかで、映画もネット配信の時代に入りました。事実、映画館が休業していたこの期間には、配給会社やミニシアターが映画ファンや映画経済のためとしてデジタル配信を行ってきました。デジタル配信が加速する一方で、名画座の生きてゆく道は厳しい現実を帯びてきています。コロナ終息後を睨んでも今こそ名画座の真価が問われています。ギンレイホールも生き残りを掛けて挑戦していかなければなりません。劇場映画の魅力は暗闇の空間で互いに知らない者同士が映画を通じて“感動”を共有するところにあると思っています。この“感動”の共有こそが映画館の存在価値を認めていただける『原点』だと思います。ギンレイホールはこの『原点』を追い求めて、名画座の看板に恥じない映画を用意して、ファンの皆さまが映画館に来て映画を楽しんでいただけるよう努力を重ねる覚悟でおります。どうか皆さまのご支援ご協力をお願い申し上げます」
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