移民大国フランス、2世の現実をコメディに 「最高の花婿」続編、ヒットの要因は?
2020年3月29日 10:00
保守的なカトリック教徒夫妻の4人の娘たちが結婚相手に外国人を選んだことから巻き起こる異文化、異宗教の家族問題の騒動を描いたフランス映画「最高の花婿」の続編「最高の花婿 アンコール」が公開された。前作に続き、フランスで大ヒットを記録した本作の監督、フィリップ・ドゥ・ショーブロンが作品を語った。
ヒットしなかった時の方が理由を探すのが簡単だよね。今回ヒットしたのは、笑える作品だからじゃないかな。みんな喜劇を見て笑いたいと思っているんだと思う。テーマ的にも愉快なテーマなんだけど、フランス的で同時にとても普遍的な内容であることもヒットの要因かな。家族のこと、人間のこと、そして世界の現状も描かれるというところでウケたんじゃないかな。
実は、映画も、移民2世の現実を描いているんだ。ルーツを移民に持っている、特に黒人系、アラブ系は、仕事が見つかりにくいということが現実としてあって、不満に思っている。やっぱり白人と同じようには扱ってもらえないから、新天地を外国に求める人も多い。それからユダヤ人はユダヤ人で、反ユダヤ主義というものがあるので、攻撃されるのではないか、と安全性の問題がある。アジア系も、例えばアジアの観光客で、中国人や日本人が襲撃される、ということが実際にある。もう一つ、僕自身が面白いと思ったのは、そういう居心地を悪く思っている人たちが自らフランスを離れようと思ったこと。前作では、クロードが彼らにフランスから出て行けと言った。今回はフランスから出て行こうとする婿たちを引き止める、そこに面白さとアイロニーがあるんだ。
今、確かにナショナリズムは出てきているけれど、それは必ずしも移民問題に直結しているわけではなく、経済的な問題、貧困の問題、失業者の問題、そういう社会問題につながっているからこそ台頭してきているわけで、さらに言えば、フランスに限るというわけではないよね。僕自身がそれを答える立場にあるかはわからないけれど、それは一つのサイクル。そういう時期にいるんだと思う。それが続くかわからないし、それが終わったら次に何が起こるか、映画監督の自分としてはわからないね。
僕自身のことで言えば、順応することに何の問題もなかった。なぜなら妻の祖父の代が移民。だから、僕の義理の両親はフランスで生まれていて、フランスの文化を持っている。妻とは、同じ学校に通って、同じ本を読んで、同じ文化を持っているから、違いは、僕たちの中では、最小限だった。
あれは、最初はシナリオには書かれていなかったんだ。でも新聞を読んだら、そういうことがあると。それがこの神父にぴったりだと思って取り入れた。なかなか教会に寄付してくれる人が少なくなっていて、「今、現金の持ち合わせがないんだ」というケースが多かったんだ。クレジットカードなら持っているという人が多く、うちは受け入れますという教会が出てきた。お金をそうやってちょっとずつ集めるためにね。
事実は小説より奇なり、というけれどその通りで、本当に事実の方が自分の頭で考えるより面白かったりするから、面白いなと思ったらどんどん取り入れるのが喜劇のコツだね。アンテナを常に張っています。僕自身はコメディが多いけれど、非現実的なものは作るつもりがなくて、とても現実的、リアリスティックなコメディを作ろうと思っている。雑誌や新聞をたくさん読んで、世界の情勢に、通じるようにしているんだ。
第1弾がヒットして、日本の観客の皆さんにとても感謝しています。これだけ文化の違う日本という国で受け入れられたこと、そして同じジョークで笑うんだなということを確認できて、とても嬉しい。第一弾を気にいってくれたんだったら、おそらく、第2弾もすごく気に入ってくれるはずだよ。同じユーモア、同じキャラクターを同じ役者が演じている。ストーリーもオリジナルだから、気に入ってくれること間違いなしだよ!
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