合田雅吏「二宮金次郎」に全身全霊「教訓は人間やればできる」
2019年4月24日 20:50
[映画.com ニュース] 江戸時代後期の思想家で、経世済民を唱え農村復興の指揮を執った二宮尊徳の半生を描く映画「二宮金次郎」の完成披露上映会が4月24日、都内のホールで行われた。
五十嵐匠監督が、金次郎が青年期に660もの農村を復興させた事実を知り映画化を決意。自ら脚本を8稿まで書き、その後、柏田道夫氏に託してさらに16稿を重ねてエンタテインメントとして仕上げた。
主演に抜てきされたのは、金次郎と同じ小田原出身の合田雅吏で、「実在の人物をやるというだけでハードルが高いのに、小田原の偉人ということで何段階も上がった。うれしいのが一番だけれど、どうすればいいかあがいていた」と、オファーを受けた当時の苦悩を吐露。金次郎の生家にある銅像を見に行き「身長が183センチと同じで、顔が祖父に似ていて親近感が沸いた。それで肩の荷が降りて気が楽になった」と振り返った。
撮影前には、90キロあった金次郎に合わせ約8キロの増量。しかし、クランクイン直前に、断食のシーンから撮ることが決まり、「食べなきゃ落ちるだろうと思って、プロテインとサプリと野菜だけで1週間で7キロ落とした。それから3日間でまた元の体重に戻しましたが、人間やればできるという教訓になった」と苦笑いで明かした。
それだけに、「全身全霊をかけて作り上げた作品。ようやく見ていただけることになって感無量です」と万感の表情。さらに、「目標は100年後にも残る映画。金次郎がしたことは、没後150年たっても色あせていない。この時代だから必要とされているものだし、今日の上映がその一歩です」と力強く語った。
五十嵐監督も、「役者生命を懸けて臨むと言ってくれたのが、一番の決め手。その通りまさに全身全霊で演じてくれてうれしく思う」と称賛。そして、「尊徳が唱えた4つの美徳(至誠、勤労、分度、推譲)は、今の時代になくなっている。声高には言っていないが、それを底流には込めたつもりです」と訴えた。
冒頭では、下村博文前文科相が挨拶。「これからの大きな時代の変化の中で、チャレンジ精神を持って無から有を生み出したベンチャー精神の映画。金次郎の生き方を学ぼうという人が増えるのではと思うし、私もその思いが広がっていく日本づくりをしていきたい」と話した。
「二宮金次郎」は、6月1日から東京都写真美術館ホールで公開。製作委員会では、映写機とスクリーンを積んだバン「二宮金次郎号」を購入し、依頼に応じて全国を巡回上映する対応もしている。
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