半生が漫画化された元ヤクザKEI氏、覚せい剤・コカイン体験と更正を語る
2019年4月17日 21:01

[映画.com ニュース]青年期にヤクザの世界に足を踏み入れ、覚せい剤の密売でFBIのおとり捜査によりアメリカの刑務所で12年間服役、メキシコのギャングの世界に足を踏み入れるなど、その壮絶な半生が「チカーノKEI」(秋田書店)として漫画化されたKEI氏のドキュメンタリー「HOMIE KEI チカーノになった日本人」のトークイベントが4月17日都内であり、KEI氏と元ヤクザで牧師の進藤龍也氏が、薬物問題の実態や自身の体験について語った。
ヤクザから足を洗い、現在は児童虐待の問題に取り組み、家庭環境に恵まれない子供たちのための施設を運営しているKEI氏。バブル期にコカインの売買をめぐり、警察に情報を売られ「羽田でカーチェイスした。車の窓から全部持っているものを捨てたけれど、その中から100グラム位集められて捕まった。(当時日本の警視庁にコカインの情報がなく、)薬物テストをやっても何も出なくて、警視庁がアメリカに鑑定依頼を出して、それがコカインだとわかって、それで日本でコカインの法律が作られた」と振り返る。
19歳で覚せい剤に中毒になり、2年間どっぷり浸かっていたというKEI氏。「自分で味見をしてちゃんとしたものしか買わなかったので、普通の喫茶店で注射で売って味見をしていた」と驚愕の過去を告白。そんな息子を見かねたKEI氏の母親が注射器を処分していたところをピストルで撃ち逮捕された。「警察の人に、『不良をやっていて、(薬物を)売るのはわかる。自分までやっていてどうするんだ。もうちょっと利口になれよ』と言われて、馬鹿にされたと思って、ピタッとやめた」と警察官の言葉が薬物をやめるきっかけとなったと明かす。
昨今の薬物問題についての報道に関しては、「テレビで、『コカインを鼻で吸ったり、火で炙って吸ったり、注射器で打ったり』というのを『俺はコカインに詳しいんだ』というような奴が出てきて話しているけれど、ありえない話。コカインを水に溶けて透明にはならない。俺は昔それを打ったことがあるけれど、打つとすぐ痙攣を起こして腕が血だらけになるから注射器で打つことはできないし、覚せい剤みたいに銀紙で火で炙るというのはありえない。それをテレビで見た若い子たちが『1回やってみようぜ』と水に溶かして注射器で打って、死んじゃった時に、それを言った人は責任を取れるのか?」と訴えた。
そして、現在の活動については「刑務所からたくさん手紙が来る。来る手紙には全て返事を送っている。刑務所のライフラインといえば切手。半年に1回1人に100枚ずつ切手を送ってあげている。殺人、覚せい剤で入っている子もいて、刑務所を出るまで手紙のやり取りをして、出てきたら1回は会う。その子がこの先真面目に生きていくかは、初対面で大体分かるので、真面目になりそうだと思えば、仕事を紹介してあげることも。子供たちに関しては、『おじさんみたいなことにしていると刑務所に入っちゃうよ』と言っている」と話した。
薬物関連で3回目の服役中に刑務所で差し入れられた聖書に出合い、出所後に洗礼を受けて牧師となった進藤氏。「止めることができるのなら、依存じゃない。止められないから依存症と呼ぶ。止めるためにはより強い依存が必要。私の場合は、キリスト、聖書に出合った。シャブ中が多い刑務所から出てきた人たちで、『やり直したい、もう刑務所に入りたくない、真っ当に生きたい』と言う人は教会に住み込ませている。何が大変かというと、ヤクザをやめても、過去の客から電話が入るということ。止める人は、携帯を捨てなくてはいけない。番号を捨てないと、自分が欲しい時に買ってしまう」と自分の経験を語り、「自分が何のために生きているのかということを早く見つけ出してほしい。めちゃめちゃだったKEIさんが社会にいい影響を与える位になれるというのはみなさんの明るい希望でもある。自分の人生の芯になるものがあれば、人生変えることができるのではないか。この映画はそういう人たちが生き返るような、生き直せるような作品」と映画の見どころをアピールした。
「HOMIE KEI チカーノになった日本人」は4月26日からヒューマントラスト渋谷他で全国公開。
(C)映画「HOMIE KEI チカーノになった日本人」製作委員会
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