綾戸智恵、スタインウェイで「グリーンブック」ピアニストへのオマージュ演奏
2019年2月13日 19:15
[映画.com ニュース]第76回ゴールデングローブ賞で3冠、アカデミー賞にも作品賞を含む5部門へのノミネートが発表された映画「グリーンブック」公開を記念し、ジャズシンガーの綾戸智恵によるサロンコンサート&トークイベントが2月13日、スタインウェイ&サンズ東京で開催された。
映画は人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部での実話をもとに、インテリな黒人天才ジャズピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)とガサツで無教養だが人間的魅力に溢れるイタリア系白人運転手トニー・リップ(ビゴ・モーテンセン)の2人が旅を続け、友情を深めていく姿を描く。
ジュディ・ガーランド、フランク・シナトラをはじめ多くのアーティストから影響を受け、本作のモデルとなったドン・シャーリーもそのひとりと明かす綾戸。ニューヨーク滞在時代に“ニアミス”していたというエピソードも披露しつつ「ドン・シャーリーは、クラシックをやりたかったジャズプレイヤー。彼の演奏にはどことなくクラシックが見える。私とは反対で、音楽をやる手段がジャズかポピュラー音楽だった。だからジャズ界の中ではそれほど名が残らなかったのでは」と分析する。
作品の見どころについて、「音楽の素晴らしさを(音楽家ではない)運転手の友人から教えられ、人生を変えられる」と2人の友情に言及。有色人種への差別など、社会問題も織り込んでいるが「彼は音楽で怒った。それが芸術家」「上から教えるような映画ではなく、人生経験豊かな監督がコメディにしている。心の深いところをえぐる作品」と、監督の手腕を称えた。
この日綾戸は、劇中のドクター・シャーリーが演奏した「ONE MORE FOR THE ROAD」など数曲を、映画と同じくアメリカの高級ピアノ、スタインウェイで披露。「ドン・シャーリーもスタインウェイにこだわった。なるべく少ない音で、喜びや悲しみを表現できる。私もスタインウェイじゃないときは曲を変えます。(1音1音に)あいうえおがついているようなピアノ」と、世界のピアニストから愛される名器の魅力を実演と共にアピールした。
「グリーンブック」は、3月1日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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