加藤雅也、奈良愛を語る 天理市でロケ「二階堂家物語」お披露目
2018年9月21日 04:00
[映画.com ニュース] 「なら国際映画祭」の映画製作プロジェクト「NARAtive(ナラティブ)」から誕生した「二階堂家物語」(来年1月25日公開)が9月20日、奈良・奈良県文化会館でワールドプレミア上映され、主演の加藤雅也、石橋静河、町田啓太、田中要次、白川和子ら主要キャストが登壇。上映後にはスタンディングオーベーションで迎えられた。
監督は、2015年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・期待すべき新人賞を受賞したイランの女性監督アイダ・パナハンデ氏。中東の女性が直面する問題を描く長編デビュー作「NAHID(ナヒード)」が「なら国際映画祭2016」で最高賞の「ゴールデンSHIKA賞」を受賞し、奈良を舞台にした映画を製作する権利を獲得した。2017年10月、奈良県天理市でロケ。跡継ぎ問題に悩む親子三世代の葛藤を描いた。
まったく知らない異国の地で、文化の違いや言葉の壁に悩みながらも完成させたパナハンデ監督は「奈良でワールドプレミアできることを光栄に思います。特に(映画祭のエグゼクティブディレクターで、本作のエグゼクティブプロデューサーを務めた)河瀬直美さんには感謝を捧げたい。河瀬さんのサポートなしでは作れなかった。キャスト、スタッフにも感謝したい。イランから来た監督には越えられない壁もあって、苦労しましたが、みなさんの情熱で、いい作品になったのではないか、と思います。私だけの映画ではなく、奈良、天理市、みんなの映画になりました」と挨拶した。
跡取り息子の問題に悩む主人公・辰也を演じた加藤は「僕はバリバリの奈良生まれの奈良育ちなんです。具体的に言うと、飛鳥小学校、春日中学校、奈良高校なんです」と言うと、会場からは拍手。「めっちゃ地元なんですが、(映画祭は)10年もやっていているのに知らなかった。2年前に初めて知ったんです。河瀬直美さんが東京に来るというので、会いに行ったんです。『河瀬さん、僕、奈良の人間ですよ』と言うと、『知っている』と。『なら、なんで奈良の映画に出えへんのですか?』と言ったんです。オーディションに行くと、イランの監督が使ってくれたです」と奈良弁で出演経緯を説明した。
なら国際映画祭についても「こんなに大きな映画祭があるなら、協力したい。僕は今年デビュー30年で、奈良の映画に出ることができた。イランのペルシャはシルクロードの出発点で、奈良は終点なんです。これは縁だと思う。文化の発祥の地・奈良で、映画祭がこの先何十年も続けられるように、サポートをしたい」と地元愛を熱く語った。「ほんま、奈良の感じがせえへんよ、という人も、映画を見てもらったら、めちゃくちゃ奈良に溶け込んでいることが分かる」と力を込めていた。
イランの女性監督の情熱に応えた共演者も出来栄えには手応えを感じていた。娘役の石橋は「アイダ監督が日本の天理という場所で、個人的な家族の物語を描きました。強い意志があったから完成したんだなと思います。そんな監督のかっこいい姿に応えたいと思いながら、参加しました」。主人公の母親役の白川は「長年、女優業をやってきましたが、(イラン監督との)こういう出会いがあるんだな、と思いました。この年になると、新たに出会う人たちは、そうたくさんはいません。(映画で出会った)みなさんは私の財産です」と誇らしげに語った。
2年前のなら国際映画祭には短編映画の監督として参加した田中は「投げ銭上映という形で参加させていただいたので、クロージングを見たら、華やか。メインステージに上がりたいと思っていました。そのグランプリ監督の作品に参加できて、地道に役者をやってきてよかったです」。その田中の息子役の町田は「映画祭に参加する経験がなく、ドキドキしています。僕は群馬の田舎育ちだったので、天理の田舎で撮らせていただいたのがうれしかった。いい匂いを感じてもらえると思う」と話した。
「なら国際映画祭2018」は9月24日まで開催。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。