野村萬斎×池井戸潤 「七つの会議」主演で初のサラリーマン役、全ての日本人に働くことの“義”問う
2018年5月10日 05:00
[映画.com ニュース] 狂言師で俳優の野村萬斎が、人気作家・池井戸潤氏の企業犯罪小説を福澤克雄監督が映画化する「七つの会議」に主演し、初のサラリーマン役に挑むことが明らかになった。また、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、立川談春、北大路欣也という今までの池井戸作品を支えてきた豪華な俳優陣が顔をそろえ、現代に生きる全ての日本人に働くことの「義」とは、そして守るべき信念とは何かを問いかける。
昨年後半の話題をさらったドラマ「陸王」をはじめ、「下町ロケット」や「オレたちバブル入行組」などで企業の矛盾、働く人々の葛藤や絆など、身近な視点を題材に作品を発表し続けてきた池井戸氏の意欲作が映画化されることになった。「結果がすべて」という旧態依然とした考え方が今も続く会社が物語の舞台。社内で起きたパワハラ騒動をきっかけに、そこに隠されたある謎が会社員たちの人生、会社の存亡をも揺るがすことになる。
萬斎が演じるのは、中堅メーカー・東京建電の営業一課の万年係長・八角民夫(通称ハッカク)。入社当時は敏腕営業マンだったらしいが、現在はいわゆる“ぐうたら社員”で、年下の課長・坂戸(片岡)からその怠惰ぶりを叱責される。そんななか、坂戸のパワハラが社内で問題となり、異動処分が下される。万年二番手に甘んじてきた原島(及川)が新課長に着任するが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。
「ようやくめぐり合えた池井戸作品。そして、福澤監督とのお仕事に心から喜びを感じています」と語る萬斎。捉えどころのない自由奔放な顔と、信念を貫く強い心を併せ持つ人物に扮することになるが「私自身、初のサラリーマン役。それでいて、八角は一癖も二癖もある決して平凡ではない役どころなので、演技すること自体が新たな挑戦だなと思います」と意欲をのぞかせる。共演陣と対峙することを心待ちにしているようで「特に、香川(照之)さんは、芝居と古典芸能の両側の世界で生きる者として、“気”、“間合い”のような独特の感覚が互いにあるように感じています。共演が本当に楽しみですね」と思いを馳せる。
一方の香川は、東京建電の営業部長である北川誠に息吹を注ぐ。八角とは同期ながら、結果第一主義のモーレツ管理職だ。「池井戸潤・福澤克雄の両巨頭が組む作品カラーはすでに国内に幅広く浸透しているという点では、そこに出演する私に求められる役割はほぼ確定していると言ってもいいのだが、主演の野村萬斎という鬼才と福澤との融解、あるいは彼と池井戸ラインとの化学反応こそは、私が現場で土下座してでも盗み見たい最大の焦点だ。相変わらず男臭いキャストが満載のこの福澤組に、どんなたおやかな風を野村萬斎は吹き込むのか?」と熱いコメントを寄せている。
メガホンをとる福澤監督は、「初めてご一緒する主演の野村萬斎さんには、唯一無二の圧倒的な表現力で、今までにない、ある種の闇を抱えたヒーロー像を演じて頂きたいですね」と既に信頼を寄せている様子。さらに、「今作は『会議』を舞台にした物語。今まで見たことのないような映像表現に挑戦し、極限まで追い詰められた人間の心情と行動を、ドラマチックかつダイナミックに描ければと思います」と話している。
4月30日にクランクインした撮影は都内および関東近郊で行われ、6月上旬にクランクアップを予定している。「七つの会議」は、2019年に全国で公開。