上原浩治が語るテロの恐怖 ボストン爆破事件の“真実”に学生が危機感
2018年4月17日 18:00
[映画.com ニュース] ボストンマラソン爆弾テロ事件を題材にした映画「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」のトークイベントが4月16日、日本大学三軒茶屋キャンバスで開催された。小谷賢(日本大学・危機管理学部教授)、安部川元伸(日本大学・危機管理学部教授)、金惠京(日本大学・危機管理学部准教授)、李啓充(医師・元ハーバード大学医学部助教授)、石山成人(映画宣伝プロデューサー)、日本大学危機管理学科3年生の学生たちが出席し、意見を戦わせた。
2013年4月15日に発生したボストン爆弾テロに巻き込まれ、両足を失いながらも犯人逮捕に貢献した被害者ジェフ・ボーマンが経験した実話を元に製作された本作。カメレオン俳優として高い評価を受けるジェイク・ギレンホールが、製作・主演を務めた。
この日は「映画からレジリエンスを考える 『映画』が伝えるメディアが扱わないテロの本性」というテーマでシンポジウムが開催された。冒頭で、事件が起きたとき、ボストン・レッドソックスに在籍していた現・読売巨人軍の上原浩治投手が、事件当時のボストンの街の様子を語ったVTRが紹介されると、学生たちは、上原投手の生々しい状況説明に危機感を募らせた。
ボストンで起きたテロについて、安部川教授は「近年、(多くの人が集まり警備が比較的緩やかなイベントやコンサートなどの)ソフトターゲットを狙ったテロ事件が増えており、その非道さは増しています」と語ると「警察の捜査の網に引っかからない人がテロを起こす傾向があり、我々はどうやって自分の身を守るかをしっかり考えなければいけない」と警鐘を鳴らす。
また、本作では、テロ後の“レジリエンス(精神的回復力)”という視点でも物語を読み取ることができるが、金准教授は、テロにあった被害者に対する日本とアメリカの補償の違いを指摘し「日本ではテロが刑法の犯罪という範疇(はんちゅう)で取り上げられることが多く、十分なケアがされていない」と問題点を挙げた。
後半は学生から「東京オリンピックにおける日本のテロ対策」についてや「人命のために人権を制限するのはしょうがないことなのか?」「日本人が海外でテロの被害にあった場合の補償と、外国人が日本でテロの被害にあった場合の補償との違い」などの質問が飛ぶなど、多くの問題が論議された。
「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」は、5月11日から全国公開。
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