新鋭ダミアン・マニベル、カンヌで絶賛の「パーク」は日本の小説から着想を得たと明かす
2018年4月14日 18:00
[映画.com ニュース] アンスティチュ・フランセ東京で開催中の「第21回カイエ・デュ・シネマ週間」で、ダミアン・マニベル監督の「パーク」が4月13日、上映され、ティーチインでマニベルが作品を語った。
アンスティチュ・フランセ日本とフランスの伝説的映画雑誌であるカイエ・デュ・シネマ誌が選んだ作品を紹介する企画。2016年のカンヌ映画祭で高く評価された「パーク」は、とある公園で、ヒロインの女子高校生が意中の男性と初デートをし、別れのときまでの1日を映す作品。
吉田修一氏の小説「パーク・ライフ」を読み「公園で完結している話がすごいと思った。自分も子供のころ公園でよく過ごしていたので、まずは、公園を舞台にした短編を作りたいと思った」と着想に至った経緯を明かす。そして、最終的に長編映画として製作を決定し、日中の散歩中に恋に落ちた二人の若者の物語と、別れの後にヒロインが体験する、それまでとは異なる夜の公園の物語という、2つの世界を描いた。
理想の公園を撮るため、ロケハンを重ね、5箇所を組み合わせて物語の舞台となる1つの公園に仕立てた。「脚本の詳細は撮影のぎりぎりまで決めませんでした。撮影場所を決めてから物語を作った」「たった1日の話でも、10~15年の恋愛のサイクルを描いたようにも見える」と、場所と時間の流れを最重視した意図を語る。また、「コメディではなく、普通の人生の中にあるユーモアを探している」と演技経験がない人々を起用し、そのぎこちなさを登場人物たちの持ち味にしているとも話した。
「第21回カイエ・デュ・シネマ週間」は15日まで。マニベルと五十嵐耕平が共同で監督し、青森で撮影された「泳ぎすぎた夜」が劇場公開中だ。