スコットランド発の人生賛歌「ウイスキーと2人の花嫁」監督が語る絆とノスタルジー

2018年2月16日 14:00

初来日したギリーズ・マッキノン監督
初来日したギリーズ・マッキノン監督

[映画.com ニュース] 第2次世界大戦中を舞台に、スコットランドの小さな島で繰り広げられるウイスキーと結婚をめぐる騒動を描いたヒューマンドラマ「ウイスキーと2人の花嫁」。メガホンをとったギリーズ・マッキノン監督が2017年12月上旬に初来日を果たし、騒動記であり人生賛歌である本作でつむいだ絆とノスタルジーを振り返った。

ドイツによるロンドン空襲が激しさを増す中、スコットランド沖のトディー島では“命の水”であるウイスキーが底を付き、誰もが意気消沈していた。島の顔役のひとりである郵便局長のジョセフには、結婚を望んでいる娘が2人いる。しかし、ウイスキーがなくては婚約、結婚の儀式は執り行えない。そんな中、輸出用のウイスキーを大量に積んだ貨物船が島の近くで座礁。そのうわさを聞きつけた島民たちは、ウイスキーの“救出作戦”に乗り出す。

戦時中の物語ながら、凄惨な戦闘シーンは皆無で、むしろ牧歌的だ。「島民たちにとって戦争はただ不便なだけで、遠い世界の出来事なんです。私たちは戦争が悲惨なものだと知っていますが、島民たちにとって問題なのはウイスキーだけ。『なんともひどい戦争だ』なんて嘆いているけど、それはウイスキーを切らしたってだけなんですよね(笑)」と、滑稽さを指摘する。

マッキノン監督がこの物語に感じた魅力のひとつは普遍性だという。「日本の沖縄で酒がなくなって、島のみんなが沖で座礁した船にこぞって酒を取りに行く。そんな話があったら、英国人の私も興味ありますね」。もうひとつの魅力は、アンサンブル劇であること。「大勢の俳優たちと組んでコミュニティをつくれることが私にとって魅力的でした。俳優たちと仕事するのが大好きなんです。若手の俳優たちも多く、そうした新しい才能と組めるのは大きな魅力で、メガホンをとる動機になりました」。

頑固親父のジョセフ役のグレゴール・フィッシャーをはじめ、しっかり者の長女の恋人を演じたショーン・ビガースタッフ(「ハリー・ポッター」シリーズ)、勝気な次女の恋人役のケビン・ガスリー(「サンシャイン 歌声が響く街」「ダンケルク」)ら、スコットランドの俳優たちが集められた。「父と娘の役者が決まると、あとはストンストンとふさわしい役に落ち着いていき、ぜんまい仕掛けで走り出していくよう。まるでオーケストラを指揮するみたいでした」とキャスティングを振り返る。絶妙なアンサンブルが美しい島の風景で生き生きと動き回り、まるで島全体が主人公のように映し出される。

ウイスキーのために一致団結する島民たちを阻むのが、民兵としてトディー島に駐在するワゲット大尉。融通が利かず、なんとしてもウイスキーの“盗難”を阻止しようとする役どころだ。「ワゲット大尉の面白いところは、自意識過剰でシリアスなのに、恐ろしく無能であるところ」とマッキノン監督。「演じたエディ・イザードは、もともと軍人一家の出身なので、軍隊のことには詳しい。だから、今回も意気揚々と軍服を着てくれました」。イザードの熱演で、職務に忠実でありながら空回りしてばかりの愛すべきキャラクターが誕生した。

本作は、1941年に実際に起きたSSポリティシャン号座礁事件を題材にした小説を映画化した「WHISKY GALORE!」(49)のリメイクだ。芯のある女性たちの活躍は現代的になったが、重要視したのはノスタルジーだという。「俳優たちに普段の生活を忘れさせ、シンプルな生活に入り込ませないといけなかった。いまじゃTwitterやFacebookがあるけど、当時は電話ですら最先端だったんだから。シンプルな生活を想像してあの時代をつくりあげる演出は難しかったです」。連絡船に手旗信号を送り、島にひとつしかない公衆電話に駆け込む。そんな風景は、実体験がなくても懐かしいと感じられる。

エンドクレジットの最後には「撮影中はお酒を飲んでません」と注意書きが登場するが、「週末はみんなでパーティをしましたよ」とにっこり。「楽しむだけでなく、俳優たちのコミュニティ感をつくりあげるのも大切なので、そういう目的もありました。飲み比べ大会はしなかったから、誰が一番強いかはわかりませんね(笑)」。劇中さながらの絆が育まれていたようだ。

ウイスキーと2人の花嫁」は2月17日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開。

(映画.com速報)

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