映画評論家・松崎健夫、台湾発サスペンス「目撃者」は「30分に1回ドンデン返しがある」
2017年12月23日 12:00

[映画.com ニュース] 台湾のアカデミー賞といえる第54回金馬奨(2017年)で、主演男優賞、助演男優賞、視覚効果賞、編集賞、音響効果賞の5部門にノミネートを果たしたサスペンススリラー「目撃者 闇の中の瞳」のトークイベントが12月22日、東京・新宿シネマカリテで行われ、ライターの西森路代氏と映画評論家の松崎健夫氏が、作品の魅力を語った。
新聞社の実習生シャオチー(カイザー・チュアン)は、2007年のある嵐の夜、郊外の山道で車同士の当て逃げ事故を目撃する。被害者の男性は死亡、助手席の女性もひん死の状態だった。シャオチーは現場から逃走する車を撮影するが、記事にはならず、また犯人が捕まることもなかった。9年後。敏腕記者となったシャオチーは、買ったばかりの中古車の持ち主が当て逃げ事故の被害者だったと知り、事故の真相究明に乗り出す。だがその最中、不可思議な事件がシャオチーの周囲で巻き起こる。
西森氏と松崎氏は、「2回と言わず3回くらい見たい。脚本のすごさを感じます」(西森氏)、「30分に1回ドンデン返しがあるような作品。何度見ても面白い。2回見たら楽しめる点がさらにある」(松崎氏)と本作の脚本の独自性、構成力を絶賛。西森氏は「観客を信頼してくれる映画はうれしいですよね。私は(映画を見る際に)結構混乱しがちなんですが、本作では混乱しなかった」と本作のわかりやすさを評価し、松崎氏も「この映画の場合は、1個ずつ事象を解決することによって、観客が整理できるようになっている。観客に対して理解する隙を与える構成になっているんです。そこがすごくうまいなと感じましたね」と同調した。
本作のメガホンをとったチェン・ウェイハオは、33歳の新鋭監督。今後の活躍にも期待がかかる逸材だが、西森氏はカギとなるシーンの演出に「『インファナル・アフェア』や『新しき世界』を思い出した」といい、「(仕掛けや伏線を)意図的に映像に仕込めるのがすごく良い。そういう人が1人でも現れると、台湾映画の底上げになる」と期待を寄せた。
松崎氏は、「登場人物の顔をちゃんと見せている」「目線をしっかり撮っている」点を挙げ、「セリフと視線、1つの絵の中で2つの情報を観客は得ることができ、2つの違いで“何かあるんじゃないか”と感じるんですね。観客が勝手に解釈してしまう、そこがこの映画のスマートな部分だと思います」と考察。「映画の冒頭が素晴らしい作品は往々にして素晴らしいんですが、本作の冒頭で自動車のミラーが壊れて、破片に目がいっぱい映るシーンがある。そこで、いろんな視点があるということを見せているんです。さらに、ワイパーによって、“先が分からない物語だ”ということを見せているんですよね」と通な見方を提示し、観客をうならせていた。
「目撃者 闇の中の瞳」は、2018年1月13日から全国公開。
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