「楢山節考」デジタルリマスター版上映 あき竹城、入院中の母のためにも熱演
2017年10月27日 23:05

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭の日本映画クラシックス部門で、今村昌平監督の「楢山節考」のデジタルリマスター版が10月27日、EXシアター六本木で上映され、出演者のあき竹城が登壇した。
同映画は姥捨ての習慣がある山深い寒村を舞台に、人間の永遠のテーマである生と死、親と子の人間関係の本質を描いたもの。1983年のカンヌ国際映画祭では最高賞を受賞した。
主人公の辰平(緒形拳)の妻、玉やん役を演じたあき。起用理由には「泥臭い。田舎っぽい。足が太い、からです」と笑い。「山形弁を使ってはいけないということで、標準語を勉強しました。事務所で監督の指導を受けましたが、監督の前では直っても、『お疲れ様でした』というと、訛りが出てしまった」と話した。
撮影中は何度も方言でのNGがあったそうで、「毎日毎日、『訛っていたぞ』と監督に怒られていました。とにかく台本を読みました。私が訛っているのを知っていて、なんで選んだの、やってられないと思ったこともありましたが、入院していた母親が楽しみにしていたんで、どうしてもやらなきゃと思った」と振り返った。

ロケ地は長野県北安曇郡の山間部で1年以上通った。「車では行けない場所で、山を2つ越えるんです。徒歩で2時間はかかりました。廃村で、15軒くらいあった家の半数は雪の重みで倒壊していました。田んぼや畑も作ったんです。山から降りてくるシーンは、(吹き替えはなく)『登って、降りてこい』というんです。えーと思いましたね。食べることだけが楽しみでした」。
辰平との初夜のシーンは2回撮ったそうで、「緒形さんの腰が動き過ぎていたというんですね。『このシーンは覗いちゃいけないぞ』と言われていたですけど、1人だけ覗いていた方がいるんです。(おかね役の)清川虹子さん。『いいなあ。いいのとやっていて』と羨ましがられました。前バリをやっていたんですけど、『横から見える』といわれたので、取っちゃったんです」と裏話を披露した。
劇中、当時45歳の坂本スミ子が老婆を演じるために前歯4本を抜いたことが話題にもなった。「昔の映画(1958年、木下惠介監督)でも、田中絹代さんが歯を抜いているということで、そうしたわけですが、すごいなと思いましたね。歯医者さんが来て、歯をつけたり外したりしていました。歯が必要なシーンなのに、歯医者さんがいないので、大変だということになって、スタッフが山を降りて、呼びに行ったこともありました」と話した。
映画の完成を楽しみにしていた母親は撮影途中に亡くなったという。「きょうだいには、『私はこの映画に夢中だから、母のことは伝えないでくれ』と言っていたんです。母が亡くなったのはかなり経ってからでした。試写会の時に兄が母の遺影を持って見せてくれたんで、私も『やったぞ』と思いました」としんみり。最後に、「私の代表作です。このおかげで、いろんなお仕事をもらいました。監督との出会い、作品との出会い。素晴らしいなと思いました」。カンヌでの快挙については「びっくりしました。その日は大パーテーでした」と笑顔と訛りで締めた。
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