ビル・コンドン監督が「美女と野獣」に付け加えた“新たな設定”とは?
2017年4月17日 14:30

[映画.com ニュース] ディズニーの名作アニメをエマ・ワトソン主演で実写化した「美女と野獣」で監督を務めたビル・コンドンが来日。映画.comのインタビューに応じ、アニメ版の世界を再現しつつ、新味を加えた本作について語った。
美しく聡明だが、村人からは変わり者扱いされているベル(ワトソン)と、魔女の呪いで野獣の姿に変えられ、心を閉ざした王子(ダン・スティーブンス)が互いに歩み寄り、心ひかれていくさまを新シーンを大量に盛り込んで描く。ワトソン、スティーブンスのほかルーク・エバンス(ガストン役)、ケビン・クライン(モーリス役)、ユアン・マクレガー(ルミエール役)、イアン・マッケラン(コグスワース役)、エマ・トンプソン(ポット夫人役)ら豪華キャストが顔をそろえ、世界興行収入10億ドル超の特大ヒットを記録している。
アニメ版から実写版に展開するにあたり、世界観を大切にしつつも、本作では驚くほど細かな設定が付け加えられている。ベルや野獣の過去が明かされるだけでなく、野獣が暮らす城の使用人たちやベルの父モーリスたちの新たな側面が描かれ、作品に深みと奥行きが与えられた。オリジナル版への製作陣の敬意と愛情がうかがえるが、コンドン監督は「脚本家のスティーブン(・チョボウスキー)やエバン(・スピリオトポウロス)、プロデューサー、(作曲家)アラン・メンケンや(作詞家)ティム(・ライス)らと一緒に努力して生まれた作品。これだけの数のみんなで話し合ってできたんだ」と本作がチームワークのたまものだと強調する。
撮影現場においても「今回は、特殊効果などは一切無視して、いわゆる普通の映画製作と同じように臨んだんだ。ちゃんとリハーサルをして、みんなで集まって準備をして演技をして……本当にリアルに、すべてを“本物”として扱った。(役どころの)ティーポットとしてではなく、エマ・トンプソンがエマ・ワトソンとちゃんと演技をしていたんだ」とリアリティを重視した作品作りを目指した。
ストーリー面など、自身も積極的にアイデアを出し「ベルの母親と、彼女が亡くなってしまった理由の部分だね。最初のナンバーとして、モーリスがオルゴールを持っているところがある。オルゴールが流れながら、モーリスは自分が最も幸せだったころを思い出している。彼は絵を描いていて、(その絵は)妻が赤ちゃんをだっこしているという状況から始まる。あの部分は、私のアイデアだよ」とアニメ版では登場しなかったベルの母が深く関わってくると明かした。
アニメ版で使用された楽曲が網羅されているだけでなく、新たに3曲メンケンによる書き下ろし新作が加わったのも本作の大きな特長。ファンにとってはこれ以上ないボーナスといえるが、メンケン監督は「最初から新曲を3曲追加しよう、と決めたわけではなくて、製作しているなかでできあがったんだ」と語る。「最初に、オルゴールが流れているシーンでモーリスが歌うにはちょうどいいと思い、新しい曲『時は永遠に』を追加した。この曲に関しては、ベルが歌う場面もあるね。もう1つは野獣にとって子守唄になる曲(『デイズ・イン・ザ・サン 日差しをあびて』)で、10年くらい前にアランとティムが作り始めていたものなんだ。それを聞かせてもらい、素晴らしい曲だったから使いたいと思って今回入れたんだよ。3曲目の『ひそかな夢』については、野獣の歌がアニメーション版では抜けていたからほしいと思ってね。ブロードウェイ版ではあったけれど、歌詞が本作の内容とは合わなかったから、今回新たな形で入れてみたんだ」とそれぞれの楽曲の背景を解説した。
追加個所や新曲などファンのツボを押さえつつ、メンケン監督は本作で「美女と野獣」というコンテンツに初めて触れる若い世代にも目を向ける。「若い世代の方々が本作を通して『美女と野獣』を知ることはすごくうれしいし、私の願いとしては、この映画を全編1つの物語として楽しんでいただきたい。若い世代の方には、純粋に楽しんでいただければと思うよ。そして、大人の方だったらアニメ版からの変更点などに気づかれるだろうね」と締めくくった。
「美女と野獣」は、4月21日から全国公開。
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