三宅唱監督、最新作は盟友・森岡龍主演の時代劇 「密使と番人」今夏放送&上映
2017年4月1日 12:10
[映画.com ニュース] 「Playback」「THE COCKPIT」などで知られる三宅唱監督の最新作が、盟友・森岡龍を主演に迎えた時代劇「密使と番人」であることがわかった。3月31日に東京・渋谷のユーロスペースで行われた特別上映会で発表され、三宅監督、森岡、音楽を手がけたOMSB、Hi'Specがトークイベントに出席した。
舞台は19世紀初頭、鎖国下の日本。ある蘭学者の一派が、江戸城が管理する日本地図の写しを入手した。オランダ人に渡し、西洋の学術書と引き換えるためだ。若き蘭学者の道庵(森岡)は日本地図を持ち江戸を発つが、察知した幕府は人相書きを手配。追われる身の道庵は、雪深い山道へ足を踏み入れていく。
2016年5月に企画がスタートし、同年12月に長野・諏訪の山中でクランクイン。三宅監督は「まさか自分が時代劇をやるとは夢にも思っていなくて、最初、断ろうと思った。無理じゃねえ? 俺、世界史選択だったしって」と苦笑い。それでも「自分が厭世的な時期だったので、山や海の自然の話にしたいと思った。山に男がひとりいて、逃げているんだろうな。そうしたら追手もいるだろうな。江戸時代の要素を肉付けしていき、自分なりに勉強していくなかで、鎖国って変なことで面白いと思った。江戸時代に自分がいて、世の中に情報があるとを知ったら、俺はいろいろ知りたいと思う側の人間だと思った」といい、「そうすると、逃げている人間が少しずつ見えてきて、密使は蘭学者であるというストーリーを作った」と説明した。
森岡の出演経緯については直感で決めたそうで、「この数年間、人類で2番目に会っている人なんですよね。友人として。いつか一緒に仕事したいとは思っていたけど、まさか時代劇とはびっくりした」と話す。一方の森岡は、プロットに対し「僕も外側の世界を知りたい人間だと共感した」と述懐。追手役・渋川清彦との雪中の格闘シーンに言及し、「気絶するくらい渋川さんと激しくやりあったんですが、映像で見ると意外と動きがゆっくりに見えて、手を抜いていると思われそう(笑)。雪の中だと動きが制限されて大変なんですよ」と語った。
また編集段階では森岡とともに試行錯誤したという。三宅監督は「映画をつくっているときはいろいろ見失いがちで。それはまずいんですけど。でも龍だからこそ、ガイド役になってくれた」と感謝しきり。さらに前作「THE COCKPIT」の被写体にもなったOMSBとHi'Specを「(クエンティン・)タランティーノに見つかったらやばいなと思った。僕が最初に(映画で)やれてよかった。これで安心してタランティーノに紹介できる」と絶賛し、「今作は壮大なサーガの予定。龍とはそれを撮るでもいいし、現代劇も一緒にできればいい」と意欲を見せていた。
「密使と番人」は石橋静河、井之脇海、足立智充、柴田貴哉、嶋田久作が共演。今夏に日本映画専門チャンネルと時代劇専門チャンネルで放送され、ユーロスペースで特別上映予定。
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