バンサン・ペレーズ監督作「ヒトラーへの285枚の葉書」7月公開 来日も決定
2017年3月11日 07:00
[映画.com ニュース] フランス語圏を代表する美男俳優として知られるバンサン・ペレーズの監督作「ヒトラーへの285枚の葉書」の公開が7月8日に決定した。また、ペレーズが来日することも明らかになった。
ペンと葉書を武器にヒトラー政権に抵抗した平凡な夫婦の実話を基にし、ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録から終戦直後に書き上げた小説「ベルリンに一人死す」の映画化。主演はエマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソンとダニエル・ブリュールらが共演している。
ペレーズは、俳優から監督へと活躍の場を移す前の2007年、フランス語版の原作を読み、第2次大戦中の一般的なドイツ人の姿を描いた本作の重要性に気づき、映画化権を獲得。資金調達の過程で、自身のおじがガス室送りになっていたという、衝撃のルーツを知ったという。
ドイツ人の血を引くペレーズは、おじが収容されたという精神科病院やガス室を訪ね「ドイツ人の血が流れている人間なら、たくさんの疑問を抱えているはず。僕はそれらの答えを見つける必要があった。ドイツ人は過去の記憶を残しておくのが上手だ。何が起こったのかを誰も忘れるべきではないと考えているんだ。旅の間に、家族の中でナチス党員だった人は誰もいないという事も知った。これは重大な事実だ。当時ナチス党員でなかったという事で、家族はかなり辛い思いをしたはずだ。あらゆる場所に住む人たちにこの話を伝えることが大切だ。そして、誰でも闘うことができる、そして闘うには勇気が必要になると示すことが大切だった」と本作製作の経緯を語っている。
フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットーとアンナのもとに最愛のひとり息子ハンスが戦死したという知らせが届く。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と怒りのメッセージをポストカードに記し、それをこっそりと街中に置いた。ささやかな活動を繰り返すことで魂が解放されるのを感じる二人。だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポの猛捜査が夫婦に迫りつつあった。
「ヒトラーへの285枚の葉書」は、7月8日、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開。
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