「リップヴァンウィンクルの花嫁」公開後1年を経て上映会 黒木華らがりりィさん偲ぶ
2017年3月7日 23:30

[映画.com ニュース] 黒木華が映画単独初主演を飾った岩井俊二監督作「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016)のプレミアム上映会が3月7日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、黒木、岩井監督、共演のCoccoが舞台挨拶に出席した。
公開から約1年が経つにもかかわらず上映会が催され、しかも満席。驚きの表情の岩井監督は「本当に愛された作品なんだなと、受け止めきれなくて、壊れそう」とこぼしつつ、「こういう形で皆さんの愛情を見せてもらうのが、生まれて初めてでドギマギしています。出来上がった作品がひとり歩きして、親である監督には計り知れないところまで行ってしまう。映画は不思議です。この作品がこんなに愛されているのであれば、時々こういう上映会を継続して、皆さんに会える機会を設けたい」と意欲を見せていた。
さらに主人公・七海役の黒木も、「私まで一緒に愛してもらっているような気持ちで、恐縮でありがたいです」と感激の面持ち。撮影の日々を振り返り「幸せだったなあ」と目を細め、「私はつらいことや悲しいことのほうが、心にズガンときて覚えているほうです。でも七海ちゃんのように『人生も悪くないな』と少しでも思える、皆さんの支えに少しでもなれる、そんな映画になっていればいいなと思います。本当に、愛してくれてありがとうございます」と深々と頭を下げた。
また今作には、16年11月に死去した女優・りりィさんが出演。岩井監督は、自身が企画・脚本を手がけた2014年のドラマ「なぞの転校生」を引き合いに「りりィさんは異世界からやってくる王妃役で、ものすごい存在感だった。そのときに今作の構想がすでにあり、出演のきっかけになりました。そして次回作もお願いしたいと思っていた矢先に、亡くなったというニュースが飛び込んできた」と述べる。そのうえで「人は死にますが、なぜだという気持ちが強かった。次の作品で、彼女が演じるだろうイメージは僕の心の中にしかなく、見せられないのが非常にもったいない。忘れないでいるのが一番だろうと思う。映像のなかでいろんな人に見てもらえるのが、りりいさんも嬉しいと思う。忘れないようにしたい」と神妙に語った。
黒木は、「ご一緒しているとき、ものすごく神々しくて。心にガツンとくるお芝居をされていて、もっともっとご一緒したかったし、もっともっと見たかった。運命や出会いは、自分のなかでとても大切で、大きいものなんだと感じさせてくれました」と感謝を口にする。りりィさん演じる里中珠代の娘・真白役のCoccoも、「衣装合わせのときにしか会っていなくて、『今度はちゃんと共演できたら』という話のままで……」と声を落とし、「シンガーソングライターでデビューされ、こんな素敵な役者になれるという、自分のなかで希望の星でした」と偲んでいた。
なお「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、3月26日の午後9時から日本映画専門チャンネルでテレビ初放送される。
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