シュタイデル社の創業者、写真家ロバート・フランクの功績を語る
2016年11月11日 15:00

[映画.com ニュース] ドイツの出版社シュタイデル社と東京藝術大学デザイン科視覚伝達研究室が主催する、写真家ロバート・フランクの展覧会「Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo」の関連企画として、11月10日、シュタイデル社の創業者ゲルハルト・シュタイデル氏によるトークイベントが、東京藝術大学で行われた。
1959年に発表した写真集「アメリカンズ」で国際的にその名を知られるようになったフランクについて、シュタイデル氏は「彼は35ミリのモノクロフィルムが持っていた特別な可能性を、新しい表現方法として存分に生かしました。手持ちのライカで撮った写真は、彼自身の斬新な視点と、モチーフの率直なまでの日常性がいきいきと息づいています。自然発生的でピントが合わず、画質の粗さが新しい写真言語の瞬間となったのです」と評する。
「アメリカンズ」は、ジャック・ケルアックの序文でも知られているが、フランクとしては、短いキャプションも含め、文字を載せることを望まなかったと明かす。そして、「アメリカンズ」が、写真が芸術ではなかった時代に、初めて芸術として捉えた書籍であると説明し、「それ以降写真の見方が変わり、ビジュアル的な付属物としてではなく、それだけで書籍の内容を構成できる物として見られるようになります。その本がアートだからです。写真をアートとして目を向けることを当時の人は学ばなければなりませんでした。ロバート・フランクはその方法を示したのです。フォトブック(写真集)は、ある種のギャラリー、本の形をした美術館として、理想的な媒体だと探し当てたのです」とフランクの功績を語った。
「アメリカンズ」が成功を収めた後、フランクは写真から映画製作に興味を移すが、「フィクションとドキュメンタリーの間に位置づけられる彼の映画作品は、商業的な成功を追い求めたものではなく、そのような成功もありませんでした。彼にとっては写真であれ、映画であれ、彼の作品を最初から決定づける媒体を抜きにしては考えられない。それがフォトブックなのです」と強調。そのほか、今回の展覧会のために、写真を新聞用の紙にプリントすることについてのフランクの反応や、フランクがローリング・ストーンズの北米ツアーに同行した劇場未公開のドキュメンタリー作「コックサッカー・ブルース」の裏話などを披露した。
フランクは、写真と映画の歴史に最も影響を与えた人物のひとりに挙げられているものの、オリジナルプリントの取り扱いの難しさなどから、展示の機会が限られていた。今回の展覧会では、廉価な新聞用紙に印刷され、さらに会期の終了とともに破棄されることで、売買と消費のサイクルを回避するという試みを実施。主に大学や学校などの教育機関を会場として世界50都市を巡回している。シュタイデル氏は「今回、フランクの映画とフォトブックが、初めて彼の写真作品の文脈の中で展示されます」と見どころをアピールした。
展覧会「Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo」は、東京芸術大学大学美術館陳列館で24日まで開催。フランクを追った新作ドキュメンタリー映画「アメリカンズ ロバート・フランクの写した時代」が、17年4月から、Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開。
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