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松雪泰子、現代版「古都」ににじませる“はんなり”とした手ごたえ

2016年11月9日 19:52

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和装で登壇
和装で登壇

[映画.com ニュース]松雪泰子が一人二役に挑み、主演した映画「古都」の完成披露試写会が11月9日、東京・新宿ピカデリーで行われた。松雪は、娘役を演じた橋本愛成海璃子とともに和装で登壇し、Yuki Saito監督だけでなく客席のため息を誘った。

今作は、川端康成の代表作のひとつである同名小説を映画化するもの。過去に2度(1963年と80年)映画化されているが、これまでと大きく異なるのは、原作では描かれる事がなかった大人になった主人公たちの物語として描いている点だ。生き別れた双子の姉妹に扮した松雪は、伝統の継承に生涯を捧げる呉服屋の姉・佐田千重子、北山杉の里で働く妹・中田苗子に息吹を注ぎ込み、それぞれに一人娘がいるという設定。千重子の娘・佐田舞を橋本、苗子の娘・中田結衣を成海が演じている。

撮影は、京都と仏パリでオールロケを敢行。京都では“ほんまもん”を追求し尽くし、茶道のシーンでは裏千家今日庵の全面協力を得て国宝級の茶道具が提供されたほか、華道のシーンでは池坊専好次期家元、禅のシーンでは妙心寺退蔵院の松山大耕副住職が自ら出演している。この日もステージ上に池坊華道会の豪華な生け花と世界で活躍する書道家・小林芙蓉がしたためた「古都」の題字が展示されるなど、今作ならではのこだわりを披露した。

ハリウッドで8年間にわたり修行を積んだSaito監督は、「アウトサイダーとしての目線で描きたかった」という。「川端康成記念会に映画化の許可を取りに行ったときに、『原作と映画は違う。自由にやってください。ただし、川端の美の精神を継承することだけは守ってくれ』と言われたんです。そこだけはぶれないようにしました」と今作にかける思いを熱く説いた。

松雪は、本編の世界観に触れ「伝統を継承するって、そんなに簡単ではありません。先祖たちが背負ってきたものを次の世代に渡すことは難しい問題であり、子どもの未来を遮断してしまう可能性もありますから」と語ったが、「撮影では本当にたくさんの京都の方々にご協力を頂きました。伝統文化を、どうつないでいくか。私たちは作品を通して、繊細な感性をもつ日本の文化をきちんとした形で残せたらいいなと、監督の思いを聞いて、さらに強く意識しました」と撮影中の胸中を吐露し、今作の出来栄えについて手ごたえをにじませた。

なお、この日は撮影に自宅である町屋を提供するなど製作に協力し、今作のモデルにもなった熊谷昌美さん、優希さん親子が登壇し、松雪らに花束を贈呈した。

古都」は、11月26日から京都で先行上映され、12月3日から全国で公開。

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