古舘伊知郎“舌妙”な弁士デビュー「しゃべり速すぎて同時通訳できるわけがない」
2016年10月27日 20:15
[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭の特別イベント「歌舞伎座スペシャルナイト」が10月29日に開催され、フリーアナウンサーの古舘伊知郎が弁士に挑戦。歌舞伎俳優の尾上菊之助が舞踊「鷺娘(さぎむすめ)」を披露した。
古舘は、歌舞伎座前の屋外で行われたフォトセッションに登場するなり「皆さんに向かって頭(こうべ)を垂れていると、薬物で捕まった湾岸署前の芸能人の気分になる」と毒舌全開。「菊之助さんと一緒に踊りたいと言ったら、ダメだ、おまえはしゃべりに回れということになった。だから今日は、しゃべり狂って帰るだけ」とおどけながら出演経緯を語った。
「歌舞伎座が新しくなった時、『報道ステーション』で何度も伝えたので来ている気になっていた」そうだが、来場するのは初めて。弁士を務めたのは1928年の「血煙高田の馬場」。伊藤大輔監督、大河内傅次郎主演で、後に赤穂浪士になる中山安兵衛が世話になった叔父の窮地を知り、助太刀のため八丁堀から高田馬場に駆け付ける物語だ。
11巻のフィルムのうち10巻が焼失している幻の名作で、わずか6分の上映だったが、「僕のしゃべりは速すぎて同時通訳できるわけがないから、外国人の方は面白くないと思う」と宣言していた通りのマシンガントークがさく裂。安兵衛が路地を疾走するシーンでは、「これはすごいぞ。アスリート魂だ。もう、ドーピングをしているのは間違いない。医療大麻も使っているかもしれない」など“時事ネタ”も盛り込みながらの軽妙なしゃべりで、会場を笑いに包んだ。
菊之助も、「女形の美がギュッと詰まった舞踊」という「鷺娘」を歌舞伎座で初披露するため、坂東玉三郎に指導を仰いだ。「玉三郎のお兄さんがつくり上げた究極の美を求めて踊れることを誇りに思う。早変わりもあるので、初めて見られるお客様には珍しい趣向かも」と華麗な舞いで観客を魅了していた。
また、片岡一郎が弁士を務めた「忠臣蔵 デジタル最長版」(1926)も特別上映された。
第29回東京国際映画祭は11月3日まで開催。
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