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春日大社で河瀬直美の新作短編と本橋成一「アレクセイと泉」を奉納上映

2016年9月21日 17:00

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春日大社宮司の花山院弘匡氏に 作品を手渡す本橋成一監督
春日大社宮司の花山院弘匡氏に 作品を手渡す本橋成一監督

[映画.com ニュース] 奈良市で開催中の「第4回なら国際映画祭2016」で、世界遺産の春日大社に映画を奉納するイベントが9月20日に行われ、河瀬直美監督の短編最新作「輪廻」と本橋成一監督の「アレクセイと泉」が上映された。

この日、プレミア上映された河瀬監督の「輪廻」は、今から約1300年前に建立された春日大社で撮影された。奈良在住の河瀬監督にとって同所は庭のように身近な空間だと言い、「自然に対して畏敬の念を持ちながら、守られている感覚は世界に誇れる精神性」「(映画には)自分自身のピュアな思いを捧げた。この土地の持つ力と共に、自分の力が残るように精進したい」と明かした。

アレクセイと泉」は、チェルノブイリ原発とその被災地ベラルーシの暮らしを撮った映画「ナージャの村」に続き、ベラルーシ東南部にある小さな村ブジシチェを舞台にしたドキュメンタリー。本橋監督は「汚染された村に82歳の老人が一人で住んでいて、その時僕はどうして村から出ないのか質問したら、『人間が汚した土地だろ、どこに行けばよいって言うんだい』と返ってきた。写真を撮りに来た僕が聞くこと自体が間違いだった」と撮影当時のエピソードを明かした。

ライトアップされた春日大社
ライトアップされた春日大社

音楽を担当した坂本龍一は、ビデオレターで「9・11のテロの緊張とチェルノブイリが通底するという実感を持って、映画を体験できた」と当時の状況を振り返った。春日大社宮司の花山院弘匡氏は「人間の苦しさ、それを乗り越えようとする力や悲しみすべてが入っている作品。人間のことが好きな監督だと思った」と感想を述べた。

春日大社では、今年20年に1度の式年造替を迎える予定で、この日のイベント参加者は映画鑑賞の後、参拝と釣燈籠へ浄火を献灯。境内は台風通過直後の静けさの中、かすかな雨音が響き渡り、厳かな雰囲気に包まれていた。

「第4回なら国際映画祭2016」は、9月22日まで奈良市ならまちセンター、春日野園地、奈良県文化会館、ホテルサンルート奈良ほかで開催。

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