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寺島しのぶ、小林多喜二の母・セキ役に並々ならぬ決意「今の自分がやらなければいけない役」

2016年8月23日 18:45

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三浦綾子著書の映画化
三浦綾子著書の映画化

[映画.com ニュース] 女優の寺島しのぶ主演の映画「母 小林多喜二の母の物語」の製作発表が8月23日、都内で行われた。

蟹工船」などで知られるプロレタリア文学作家で、治安維持法下で特高によるごう問のため29歳でよう逝した小林多喜二の母・セキの半生を描く。女性監督としては現役最高齢84歳の山田火砂子監督が、これまでの福祉映画路線から一転、「13歳で自宅が丸焼けになった経験を生かし、母親がどれほど子どもを愛しているかという思いを伝えたい」と、作家の故三浦綾子さんが残した同名著書の映画化に挑む。

山田監督の熱意に打たれた寺島は、「山田先生とは毎回会うたびに泣いてしまう。先生の人としての深みをセキさんに注入したい」と意欲。自身も一児の母親だが、「6人の子供それぞれに深い愛をささげたセキさんの大きさは計り知れない。私なんか、細かいことが気になっちゃってすぐ言っちゃうから、ちっちゃいですよ。自己嫌悪の毎日です」と苦笑いだ。

それでも、「セキさんの海のように広い母性、シンの強さを感じ、今の自分がやらなければいけない役だと思った」と一念発起。20代から87歳までの実に60年以上を1人で演じることになるが、「表面的なものにとらわれず、中身重視で。シーンを積み上げていくことで、自分の中に埋めていけるように挑んでいきたい。地に足のついたセキさんをやれるよう、全身全霊を込めて臨みます」と決意をにじませた。

その上で、3歳になった長男に対しては「自立した子に育ってほしい。自分の力で道を切り開いていける、多喜二のような人になってほしいですね」と笑顔。既に歌舞伎の稽古もしているそうだが、「やりたいと言えば、それが可能なところにいるので選択は自分で。親も含めて私もそれほど思っていないんですけれどね。七夕は、魚屋さんになりたいって書いていました。本人次第です」と話していた。

多喜二を演じるのは塩谷瞬。幼少の頃に母親を亡くしており、「原作や資料を読んで、セキさんはどんなに苦労をしても弱音を吐かず家族を愛し、人生を楽しんでいたんだと感じ胸が熱くなった。役者として、多喜二を演じられることを幸せに思う」と涙ながらに語った。

母 小林多喜二の母の物語」は、多喜二を理不尽な死で失い悲しみのどん底に突き落とされながらも、戦中戦後を生き抜き子どもたちに無私の愛を注ぎ続けた小林セキの生きざまに迫る。共演はほかに渡辺いっけい山口馬木也佐野史郎ら。9月中旬にクランクインし、来年1月に公開される予定だ。

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