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森達也監督「FAKE」から見えたTVというメディアの問題点とは

2016年7月28日 14:00

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佐村河内守氏を追った話題作を軸に語る
佐村河内守氏を追った話題作を軸に語る

[映画.com ニュース] オウム真理教を題材にした「A」「A2」の森達也監督が、2014年にゴーストライター騒動で注目を集めた佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー「FAKE」のトークライブが7月27日、東京・渋谷のユーロライブであり、森達也監督、日本テレビプロデューサーの土屋敏男、岩間玄氏、NHKプロデューサーの前田浩一氏、元フジテレビ社員でドキュメンタリー映像作家の大島新氏が出席。本作から見えてくる、テレビというメディアの問題点ついて議論を展開した。

本作は、森監督が佐村河内氏の自宅で撮影を行い、インタビューを受ける佐村河内氏の姿や外国人ジャーナリストの取材風景をカメラに収めた。岩間氏は、一連の騒動がメディアで大きく取り上げられた当時を振り返り「森さんは『A』の時もそうだけど、ワンテンポ遅れたところから主題を深めていって、大分騒動が落ち着いたところで『A』『A2』という映画を出す。佐村河内さんの時もそう。かなり時間が経ったところで『あのメディアの在り方ってどうだったんだろう』という問いかけとして映画にした。すごく失礼な言い方だけど、それってあと出しじゃんけん」と投げかける。これに対し、森監督は「反射神経がにぶいので狙ったわけではない。気づいたらあと出しになっていた。終わった後に行くといろんなものが見えてくる」と説明。そのうえで、「もっともっとたくさんの人があと出ししていいと思う。なんでみんなしないんだろう、なんでこんなに(『FAKE』が)話題になっちゃっているんだろうって逆に僕の方から聞きたいくらい。みんなが『いっせーのせ』ってやっているから、各局が扁平になっちゃうんじゃないの? 局ごとや番組ごとにタイムラグをつけたりするとか」と指摘した。

さらに、「テレビでは、このタイミングで取り上げることはできないのでは?」という意見が上がる。大島氏は「まず企画として通らない。仮に通ったとしても、やりたいことをそのままの形でやることは難しい。『ここまではいけるけど、ここは無理』という局のプロデューサーの判断が必ず入ってくる」と冷静に分析。これに対し、「電波少年」シリーズを手がけた土屋氏は「なぜテレビでできないって決めちゃうんだろう」と切り返し、「電波少年が終わって10何年経つが、必ず若い連中に『今できないですよね』って言われる。何かが変わってあの番組は終わったわけじゃないのに、なぜみんな出来ないって決めるんだ」と歯がゆい表情を浮かべる。大島氏は「電波少年と『FAKE』で圧倒的に違うのは、数字がとれるかどうか」と“視聴率問題”を持ち出した。

視聴率から派生し、「より多くの視聴者を獲得=多数派の指示を得る」ために、テレビはテロップやナレーションを追加するなど“わかりやすさ”を重要視するようになったという。だが「FAKE」は、そのどちらも使っていない。森監督は、「テレビはあっさり二分してしまう。佐村河内さんだったら天才作曲家かペテン師って。でも、その間が大事だから、端数を切って整理整頓したくない。端数って大事な要素がいっぱいある。それをテレビは全部切ってしまうから大味すぎる」と指摘。そのうえで「テレビって加算のメディア。テロップ、サウンドエフェクト、音楽を足して、ワイプで抜いてってどんどん足す」と解説し、「表現するなら引き算の方がいい。加算したくなる気持ちもわかるけど、最近それが抑えられなくなっている。抑えることの大切さ、見ている方が気づくことの意味に鈍感になりすぎている。そんなに説明しなくても結構わかるんです。普段の会話だって全部はわからない。8割でいいんです。ニュアンスが伝わればいい」と訴えた。

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