小林薫が語るルネサンス芸術の魅力、3D映画で見るメディチ家の至宝
2016年7月8日 06:00
[映画.com ニュース] “イタリア・ルネサンス絵画の宝庫”と呼ばれるウフィツィ美術館と、世界遺産の街フィレンツェを映した体験型美術館3Dドキュメンタリー「フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館3D・4K」が7月9日に公開される。ナレーションを務める俳優の小林薫が、革新的な技術を用いた映画とルネサンス芸術の魅力、フィレンツェの思い出を語った。
放送800回記念を迎えた長寿美術番組「美の巨人たち」(テレビ東京系列)のナレーションを17年間担当し、美術に造詣が深い小林。プライベートでフィレンツェを訪れたこともあるそうで、「映画にも出てくるヴェッキオ橋を渡ったり、美術館も訪問しました。何よりも印象的だったのはフィレンツェの家は日本では考えられないほど長生きしていることです。石で建てられた古い家は築600年以上のものもあり歴史の厚みを感じます。代々受け継いでいく姿勢や、古いものを求める街並みの素晴らしさは一様には語れない凄さがありました」と振り返る。
ルネサンス芸術の魅力については、「とにかくあの時代の美術はどれも行き過ぎた感が溢れ出ていて面白いです。日本人のようにどこか遠慮をしたり、一歩引く事に美徳を持たないというか、とにかくダイナミックで莫大な費用をかけて最高のものを作っているという感じが凄く良いです。これは時代性以上に国民性があると思います」と分析。そして、「ボッティチェリの『ヴィーナス』や『春 プリマヴェーラ』は理屈抜きですごい絵ですね。ミケランジェロの「ダヴィデ像」のダイナミック感とドナテッロの「ダヴィデ像」の身体の柔らかさのコントラストなどは、ルネサンスの意義である人間性の自由と解放を象徴しているように思えます」と語る。
「絵画が3Dになるなんて3Dの無駄遣いじゃないかと思いました」と、美術品を3D映画で見るという試みに最初は驚いたそうだが、しかし映画を見ると3Dで美術を見る楽しさを実感しました。例えば、ラファエロの『ひわの聖母』。女性のふくよかさが立体で見る事ができて、それは聖母ではなく、まるで母親のようなイメージで見る事ができました。平面でみるとどうしても理屈で美術を見てしまいますが、3Dではより立体的に見る事ができました」と新たな視点で楽しむことができると太鼓判を押した。
「フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館3D・4K」は、7月9日からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。