「ダム・キーパー」の堤大介&ロバート・コンドウ監督最新作「ムーム」 製作舞台裏を両監督に聞く
2016年4月29日 23:30

[映画.com ニュース] 「ダム・キーパー」で2015年、アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた堤大介とロバート・コンドウの新作短編「ムーム(MOOM)」が、3月から各国の映画祭で上映され、カナダ国際映画祭で最優秀アニメーションフィルム賞(長編含む)を受賞するなど話題を呼んでいる。「世界から猫が消えたなら」などで知られる川村元気氏による絵本をアニメ化した同作の制作秘話を、堤、コンドウ両監督に聞いた。
堤とコンドウはピクサー・アニメーション・スタジオを辞し、2014年にスタジオ「トンコハウス」を設立。「ピクサーはアーティストたちを守ってくれる」と待遇に不満はなかったというふたりが、居心地の良い場所から一歩を踏み出し、トンコハウスを設立したのは、「あえて厳しい環境に身を置くことで『成長し続けること』が重要なのだと『ダム・キーパー』の製作を通じて痛感した」(コンドウ)からだという。堤も「日本にルーツを持つ僕らが架け橋になり、日米のアニメ制作現場を結び付けられれば、きっと新しいものが生み出せる」と信じて、険しい道を選んだ。
企画経緯を尋ねると「ムームは、川村さんの作品であり、『僕たちのストーリーではない』ということで、一度はお断りしたんです」と堤。ところが、原作を読み込んでいくうち、コンドウが「祖母が4歳の時に亡くなったことを思い出し、『大切なものを失う』というテーマを持ったムームにピッタリとハマった」と、作品のテーマに深く共鳴していったのだという。「パーソナルなコネクションを感じられることが、トンコハウスが作品を作る条件」と語る堤も、「これなら『僕たちのムーム』が作れる」という確信を得た。原作者の川村氏も、トンコハウスならではの「ムーム」を生み出すことを快諾し、プロデューサー的視点からさまざまなサポートをしてくれたのだという。

前作「ダム・キーパー」は、全編が油絵風の手描きアニメとして話題を呼んだ。ところが「ムーム」は対照的なフル3DCG作品で、劇中に登場するガラクタや美術の質感は徹底してリアルだ。コンドウは「作品のテーマである“喪失感”は、誰もが感じたことがある現実的なもの。それを精緻な3DCGで表現しました」と話し、堤も「ムームやルミンといった“思い出”以外は、作品を見るみなさんが『自分が捨てたものが、もしかしたら……』と思える、手に取れるように感じられるリアルさが必要でした」とうなずく。
こうして「ムーム」は、大人が子どもと一緒に楽しめる作品に仕上がった。その見どころをたずねると、コンドウは「大人のみなさんには『美しい悲しみ』を感じてもらえるはず。お子さまがたには、絵の綺麗さやかわいらしさ、ムームとルミンの恋物語を楽しんでいただけるのでは。理解はできないながらも、心のどこかに少しでも今作のテーマが残ってくれると嬉しいですね」とニッコリ。堤も「大切な思いをシェアすることに、大人と子どもの垣根はありません。コアな部分ではつながれると信じています」と応じた。
なお、トンコハウスでは、次回作となる長編版「ダム・キーパー」の制作も進行中だ。好評により会期が延長され、4月30日まで銀座のクリエイションギャラリーG8で開催中の「トンコハウス展 『ダム・キーパー』の旅」では、堤自身が「ここまで見せちゃっていいの?」と驚くほど沢山のアートワークが公開されているという。
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