朝倉加葉子監督が3カ月密着して見つめた「RADWIMPSというムーブメント」
2016年3月10日 17:00

[映画.com ニュース] 2015年、人気ロックバンド「RADWIMPS」がメジャーデビュー10周年を迎えた。山口智史(ドラマー)の病気療養に伴うサポートメンバー加入、初のヨーロッパ公演を含む海外ツアー、多ジャンルのアーティストと対じした胎盤ツアー――ハードな動きを見せた10~12月、バンドはどのように音楽と向き合っていたのか。新鋭・朝倉加葉子監督が、ドキュメンタリー映画「RADWIMPSのHESONOO Documentary Film」として記録した。
ボーカルの野田洋次郎、ギターの桑原彰、ベースの武田祐介、そしてサポートドラマーの森瑞希と刄田綴色。今の思いがあふれ出すように、映画は「トレモロ」で幕を開ける。3カ月にわたりバンドに密着した朝倉監督は、メンバーとは本作で初対面。だからこそ先入観なく「何かを狙って撮るということではないんじゃないかな、全部撮らないとわからないんだろうなと思った」とカメラをとった。
ツアーに同行する中で、朝倉監督はRADWIMPSに「集合体」としての面白さを感じた。「事務所、ツアースタッフ、レコード会社というような彼らを取り囲む周りのチームもすごく興味深くて、メンバーが核でその周りの人たちとの総体がRADWIMPSだと思ったんです。スタッフや周囲へのメンバーの吸引力がすごく、商業的にも大きなチームなのにみんなRADWIMPSを好きな心で動いているのが面白くて新鮮でした」。「RADWIMPSというムーブメントを見たい」という欲求に突き動かされ、「あまりその中に入ってしまうと全体像が見えなくなってしまうと感じたので、ちょっと引いて全体像がいつも見える位置」から彼らを追っていく。
バンドは、10月にアジア・ヨーロッパツアー、11月にきのこ帝国、ゲスの極み乙女。、クリープハイプ、Spitz、ONE OK ROCK、Mr.Childrenらを招いた胎盤ツアー、そして12月には集大成とも言えるワンマンライブ「RADWIMPSのはじまりはじまり」の合計18本のライブを成功させた。映画では、ファンに楽しんでもらうため構想を練るメンバーに加え、初めてRADWIMPSの音楽を浴びた海外ファンの姿が映し出される。
「大きく感銘を受けたことは、ファンがすごく彼らを愛しているんです。ファンの方たちの熱量・愛情は、海外でもとても感じましたが日本だとなおさら温度が高くてすごい。RADWIMPSはさまざまな活動方針の理由が明確で、シンプルに音楽を届けたいということのみで動いているんです。それは単純なようですごく難しいし、そのためには簡単じゃないほうの道を歩まないといけない部分もあると思いますが、何にプライオリティを置くかということが絶対的にブレないので、その意志の強さがファンの方たちが愛情をいっぱい注ぎたくなるところなのかなと思いました」

メジャーデビューから10年を経て、新たに生まれ変わろうとするRADWIMPS。「日々挑戦している姿を見せてもらった」と節目を目撃した朝倉監督は、「本当に膨大で壮大な量と質の挑戦だったと思うので、非常に貴重な瞬間に立ち会っているんだなと日々感じていました。こんなに長く挑戦し続けていて、(ツアーの2カ月という)期間もスタミナも込みですごいなあと」と振り返る。
海外ツアーのリハーサル日に撮影初日を迎え、「その1日目にアスリートみたいだなと思ったんですよね、ミュージシャンって。体力と技術とそれを武器に進んでいく精神力がすごく重要な仕事なんだなと思ったんですが、まさか2カ月ずっとその高いテンションで進むことになるとは思っていなかったので、本当にすごいものを見たという一言に尽きます」。
そこまで、RADWIMPSを突き動かす原動力とは一体何なのだろうか。朝倉監督は「自分たちの音楽を信じている、その強度でしょうか。しかもそれが『周りのスタッフを含めた総体としてのRADWIMPS』が自分たちに可能性を感じ続ける理由になり、その思いがメンバーを引き上げ、その気持ちで望むライブや音楽制作に周囲が更なる可能性を感じていく……というように、さらに大きな力を生み続けているように思います」と紐解く。
そんな濃密な時間を収めた本作は、「もともとRADWIMPSが好きな方たちには、彼らの記録やオフショットを見ていただける良い機会になると思いますし、これから知るという方たちには、音楽を信じて生きていて、日本の商業的な音楽シーンでそれを成立させている非常に素晴らしい人たちの姿を見ていただけると思います」とRADWIMPSの今が焼き付けられている。
「RADWIMPSのHESONOO Documentary Film」は、3月11日から全国で公開。
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