日米宇宙飛行士が「オデッセイ」を通して“宇宙での心得”を学生に伝授!
2016年2月2日 20:00
[映画.com ニュース] 都内近郊の理系学生を対象にした「オデッセイ」の特別試写会が2月2日、東京・港区の米国大使公邸で開催された。イベントにはJAXA宇宙飛行士の山崎直子氏と野口聡一氏、NASA宇宙飛行士のクリストファー・キャシディ氏とマイケル・E・フォッサム氏が参加し、高校生と大学生45人からの質問に答えた。
リドリー・スコット監督とマット・デイモンが初タッグを組み、第88回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞ほか7部門にノミネートされた本作。火星での探査任務中に事故に巻き込まれ、1人置き去りにされた宇宙飛行士マーク・ワトニー(デイモン)の決死のサバイバル生活を描く。脚本段階から撮影にいたるまでNASAが全面協力し、宇宙船のデザインにはNASAの最新技術が反映されている。
米国大使館を代表してジョン・F・ケネディ大統領の長女であるキャロライン・ケネディ駐日米国大使が挨拶。「映画は素晴らしかったです。NASAはいま宇宙飛行士を募集しているので、私も応募したい」と茶目っ気たっぷりに語った。山崎氏は「映画はリアリティがあってハラハラした。心理描写に共感しました。ワトニーさんは、つらいなかでも(後世の人々のために)ビデオメッセージを残す。私でもやるんじゃないかな」と自身に重ね合わせ、キャシディ氏は「宇宙に行くためのエッセンスが正確に描写されている」と作品のクオリティに太鼓判を押した。
キャシディ氏はワトニーだけでなく、火星探査クルーの船長メリッサ・ルイス(ジェシカ・チャステイン)についても言及。ルイスは嵐に巻き込まれたワトニーが死亡したと判断し、残りのクルーの安全を確保するために火星を発つ決断をするが「人生における決断は、そのとき手にしている情報で決めなくてはならない。彼女の決断は賢明だったと思います」と同調。現役宇宙飛行士の重みある言葉に、学生たちはじっくりと聞き入っていた。
ワトニーの大きな武器として、底抜けに前向きな姿勢があげられるが、「『オデッセイ』のような宇宙ものの映画を見て、いつか行きたいと思っていた」という野口氏は、宇宙飛行士になるために必要な資質として「やる気、コミュニケーション能力、ポジティブさ」を挙げる。さらに、予期せぬトラブルに遭遇した時の乗り越え方として「自分の能力を信じて、冷静にいること。まず落ち着いて、今できることをやっていく。そして、仲間として頑張ること。僕は『オデッセイ』は最終的にチームワークの映画だと思っています。みんなが支えてくれるからこそ乗り越えられるものがある。宇宙はチームスポーツなんです」と語りかけ、客席から見守っていたJAXAの社員たちを紹介。「彼らこそが、僕らを宇宙に運んだ」と感謝を述べた。
イベントでは「宇宙で恋しかったものは?」「1番つらかった訓練は?」といった質問が次々に飛び、宇宙飛行士たちは学生の積極性に目を細めていた。
「オデッセイ」は、2月5日から全国公開。
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