カンヌ最高賞「ディーパンの闘い」 主演は映画初出演の元スリランカ内戦兵士
2016年1月29日 17:00
[映画.com ニュース]2015年、第68回カンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞したジャック・オーディアール監督の新作「ディーパンの闘い」。主人公ディーパンを演じたのは、実際にスリランカ内戦で16歳から19歳まで反政府軍の少年兵として戦った“元兵士”という想像を絶するような経験をもつアントニーターサン・ジェスターサンだ。
映画では、スリランカ内戦からフランスに逃れた難民の男、ディーパンが主人公として描かれるが、本作が映画初出演となるジェスターサンも、スリランカ内戦元兵士で、逃亡先のタイからフランスに渡り、25歳で政治亡命を申請。劇中のディーパン同様に、スーパーマーケットの店員からユーロディズニーのホテルのベルボーイまで、様々な職を渡り歩いた後に、現在は作家として活動している。
「オーディションの時、彼の傷だらけの肉体に宿る、ある種のチャーミングさ、無頓着さにひかれた」と、オーディアール監督はジェスターサンを選んだ理由を語る。また、フランス語を解さない俳優との通訳を介しての仕事は、これまでとはまったく異なるアプローチになったという。「プロの俳優ではない彼らは、シナリオに根ざすよりも、その場で自然にやりとりをしながら作っていったほうがやりやすかったように感じたんだ。現場で彼らの意見に耳を傾けながら作品を作り上げていったんだ」と明かし、「すごく刺激的な体験だった。たとえ不安を感じることはあったとしてもね。言葉で理解しあえないというのは素晴らしいことだ。演技指導という決まりごとが空疎に思えるほどの事を学んだよ」と述懐する。
ジェスターサンは、自身と同じ経歴を持つ主人公について「彼は私の人生の50%です。最初の50%は、ディーパンが生きている状況に関して。彼が向き合っている問題は自分が直面したものと同じでしたから。違った50%というのは彼がこの状況に対してとった行動です。もし自分だったら違う行動をとっていたでしょう。ディーパンの中には、まだ内戦の兵士のメンタリティーを持っています。彼の中にはまだ凶暴性が残っている。私はフランスに来る前に、兵士としての人生はスリランカに埋めてしまいました」と語る。
コーエン兄弟、グザビエ・ドランら審査員たちの全員一致でパルムドールに輝き、映画界の話題をさらった本作、元兵士のジェスターサンの力強い存在により、フィクションの中にドキュメンタリー性やリアリティのある作品に仕上がっている。「ディーパンの闘い」は、2月12日から東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国で公開。
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