「ハッピーエンドの選び方」監督が明かす、世界で共感を呼ぶ作品作りの秘けつとは?
2015年11月27日 17:00

[映画.com ニュース] 第71回ベネチア国際映画祭で観客賞を受賞したイスラエル映画「ハッピーエンドの選び方」のシャロン・マイモン監督とタル・グラニット監督が、映画.comのインタビューに応じた。
映画の舞台は、イスラエル・エルサレムの老人ホーム。発明が趣味のヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)は、親友の頼みを聞き、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置を発明する。その発明が話題となり、ヨヘスケルのもとには依頼が殺到。そんななか、共にホームで暮らす妻レバーナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)に認知症の兆候が表れ、夫婦は人生の岐路に立たされる。
本作が4本目のタッグとなる両監督だが、幼少期から映画監督が夢だったマイモン監督と、俳優志望から紆余(うよ)曲折を経て映画製作を志したというグラニット監督は、それぞれに歩んできた道のりは大きく異なる。だが、知人を通じて出合った2人は、互いに作品を見せ合うちに映画製作におけるシンパシーを感じ取ったという。「2人とも、社会問題を映画の中で掘り下げたいという思いが同じだったのです。私たちの映画は、普段の人生から立ち現れるものを描いているのです」。本作も、マイモン監督が元パートナーの祖母の終末医療で感じた思いを出発点にしたという。
映画の大きな特徴となるのが、命の尊厳という重いテーマを扱いながらも、ユニークな発明や老人たちのとぼけたしぐさなど、随所にコミカルなシーンを挟み込み、シリアスなトーン一辺倒になっていない部分。両監督は「今回は、わざとコメディアンを配役し、主演の2人に関してはあて書きしています。こちらはシリアスなドラマとして脚本を書くのですが、その通りに演じてもらっていてもコメディのDNAがにじみ出てくる。そのことがおかしみにつながる、というのが今回の狙いでした」とち密な計算に基づいた上で、俳優の力を最大限に利用したと説明。「感動的な瞬間にユーモアを挟むことで、シーンが不条理の領域に行くことが面白い」のだという考えを示した。
そういった作品づくりで最も効果的だったのが、認知症の影響で裸のまま人前に出てしまい落ち込むレバーナを、ヨヘスケルとその友人が元気付けようとするシーン。ヨヘスケルたちは“ある突飛な行動”に出るのだが、グラニット監督自身も「最もお気に入りであり、脚本で思っていた以上になりました」と自信を見せる。作品のハイライトともいえるそのシーンでは、ベネチア国際映画祭をはじめ、世界中の観客が同じ反応をしたそうだ。「驚き、そして笑う。シーンの終わりには、みなさん感極まっていましたね」。
「日本の皆さんも笑って、時に涙してこの作品を楽しんでほしい」と語る両監督は、「人は誰しも、生きたいように生きる権利があるべきです。シニアの方も、20代の若者と同じように情熱を持って恋愛をしていくのだ、ということを考えていただければ」と作品にあふれる人間愛をアピールしていた。
「ハッピーエンドの選び方」は、11月28日から全国公開。
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