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内戦下描く「黒い雌鶏」監督、ネパールのカースト事情語る

2015年11月24日 19:30

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来日した女優のベニシャ・ハマル、 ミン・バハドゥール・バム監督
来日した女優のベニシャ・ハマル、 ミン・バハドゥール・バム監督

[映画.com ニュース] ベネチア国際映画祭で批評家週間最優秀賞を受賞したネパール、仏、独合作映画「黒い雌鶏」が11月24日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の第16回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映され、ミン・バハドゥール・バム監督、女優のベニシャ・ハマルらが観客とのQ&Aを行った。

バム監督の長編デビュー作で、内戦下のネパール北部の小さな村が舞台。カーストの差を越えて友情を育んでいるプラカシュとキランは、姿を消した雌鶏を探すために旅に出る。
タイトルに込められたメタファーを、バム監督は「黒はネパールの社会の政治的暗部を、雌鶏はネパールにおける男女格差を表しています」と説明し、映画で描かれたマオイストが現在も政治的権力を握っていると話す。
不可触民と呼ばれる最下層カーストの登場人物について問われると、「ネパールには200位のカーストがあり、(登壇した)我々も全て別のカーストです。カーストは社会的差別に繋がっていますが、それを問題なのか文化として捉えるのかは難しいこと」と持論を述べる。下位カースト出身者が映画監督や俳優を目指すことは、教育を受けられないという理由で難しいといい、「現在のネパールにも下位カースト出身の俳優はいるが、差別もある」と現実を語った。
主人公の少年をはじめ、プロの役者はほとんど使わず素人を起用した。「ほとんどの人が映画やカメラを見たことのないような人たちです。主演の子どもたちは17の村から、4カ月半かけて探して、演技を特訓しました。素人の役者との仕事はとても面白い経験でした」と撮影を振り返った。

第16回東京フィルメックスは、11月29日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。


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