鈴木京香、出征する“息子”三浦貴大を痛切な表情で見送る 「おかあさんの木」撮影快調
2015年3月2日 05:00

[映画.com ニュース] 女優・鈴木京香が主演する映画「おかあさんの木」の撮影がこのほど、静岡・新金谷駅で行われ、報道陣に公開された。この日は鈴木、三浦貴大、大杉漣らが、国のために出征する次男を母が痛切な表情をたたえて見送るシーンの撮影に臨んだ。
小学校5年生の教科書に32年間にわたり掲載され続けてきた、故大川悦生さんの名作「おかあさんの木」の映画化。懸命に育て上げた7人の息子を、突然始まった戦争によって次々と兵隊にとられ、そのたびに庭へ桐の木を植え、無事を願う母・田村ミツを鈴木が演じる。息子たちは母に「ただいま」と言えたのか、母は息子たちに「おかえり」と言えたのか。終戦70年を迎える今年、磯村一路監督のもと、いつの時代も決して変わることのない人と人のつながり、母と子の情愛を描く。
撮影が行われた私鉄・大井川鉄道の新金谷駅は、駅舎が昭和初期に建てられたということもあり、昭和の時代を描く作品の撮影で度々使われている。そして現在もSLが運行を続けており、この日の撮影で稼働した「C11-190」は昭和15年製造で、終戦時も活躍していたという。
駅ホームでは、約100人のエキストラが万歳斉唱を繰り返し、国旗が揺れる。田村家の次男・二郎に扮する三浦は「祝出征 田村二郎君」と書かれたタスキをかけ、凛々しい立ち姿。出発のベルが鳴るなか、見送りにきた弟の三郎に「母ちゃんを頼んだぞ!」と叫ぶと、汽車が動き始める。それまでぼう然と立ち尽くしていたミツ(鈴木)は「二郎!」と叫び駆け寄ると、風呂敷に包んだ弁当を手渡すという涙を誘う場面だ。
撮影を終えた鈴木は取材に応じ、昨年10月中旬にオファーを受けたことを明かした。「原作と準備稿を頂戴して、とても感動しました。私は初見だったのですが、どうして教科書で学ばなかったのかしら。当初は長い休みを予定していたのですが、この映画がクランクアップしたら、海外旅行へ行こうかな」。スケジュールを変更してまで、鈴木を駆り立てたのは「皆の心にある、お母さんのイメージですよね。日に焼けながら、懸命に子の帰りを待つ日本の母を、ぜひやりたかった」という一心。それだけに、「あんなに素敵な息子たちがいて嬉しいですし、素敵な作品に仕上がると思う。こんなに素晴らしい監督、スタッフとご一緒できるのですから、しっかりしたものを作りたい」と意気込む。
東映の須藤泰司企画製作部長は、小学生のころに原作に出合ったそうで「朝の自習時間に読んでいるうちに、涙が出そうになったんです。恥ずかしいなと思ったら、みんな泣いていた。しばらく忘れていたんですが、『プライベート・ライアン』を見ているときに思い出したんです」と振り返る。そして、「戦後70年を迎えるからこそ今一度、母を中心に庶民の目線で戦争というものをきっちり描く必要性を感じました」と製作意図を説明した。
磯村監督は、「戦争を題材にしたものは色々ありますが、銃後の母といいましょうか、女性たちの物語は少ないということもあり、ぜひ手がけてみたいと思いました」と話す。さらに、若年層へのメッセージも込めているといい、「僕は戦後生まれですが、両親から戦時中の話を聞いたりしていた。学徒動員のことなども含め、若い世代に当時のことを伝える役割を果たせたら」と意欲をのぞかせた。
鈴木は、3月2日にクランクアップ。オールアップは、3月9日を予定している。映画は、6月6日から全国で公開。
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