新作エピソードはTVアニメ2話分!「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ」脚本・上江洲誠が語る
2015年1月30日 22:30
[映画.com ニュース] 業界初のセルルック・フル3DCGテレビアニメとして、アニメーションの常識を塗り替えた「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」を映画として製作した「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ DC」が、1月31日に封切られる。本作は約60分のテレビシリーズ再構成パートに、約40分の完全新作エピソードを追加しての上映で、ファンにとっては待望の続編。脚本を担当した上江洲誠が、製作秘話や見どころを語った。
企画始動は、テレビシリーズの打ち上げ直後のことだったという。上江洲は「『もうあんな大変な思いをしなくていいんだ』とホッとしていた翌週に『続編作ろうと思います』と呼び出され、同じメンバーが会議室に結集しました。みんなが真っ青な顔をしていましたね」と苦笑い。それは「テレビシリーズは出し惜しみをせずに描き切った。果たして本当に続編が作れるのだろうか」という不安があったからだという。そのため、当初は新規カットの追加だけでお茶を濁す案も出た。だが「劇場版と銘打つからには、自分たちがガッカリするような作品をつくりたくない」という一心で製作に臨んだ結果、テレビシリーズ2話分に相当する新作エピソードが盛り込まれた。当初は総集編のつもりで製作を開始したものの、新作劇場版に近いものになってしまった。
期待の新作エピソードは「DC」の約40分の新作パートと、今年公開予定の完全新作劇場版第2作とで、ひとつの大きなストーリーを形成する。「テレビシリーズをパート1とするなら、『DC』新作パート+完全新作劇場版がパート2。パート2はテレビシリーズ最終話から地続きとなっており、群像たちがアメリカに届けた振動弾頭が量産され、人類が霧の艦隊と拮抗する戦力を得たことで『果たしてどうなっていくのか!?』という物語です。これまでは人類に対し一定の距離を置いていた霧の艦隊も、危険度を増した人類に対して、本腰を入れて相対することになる。中でもコンゴウを退けた主人公・千早群像たち蒼の艦隊は“ガン”として危険視され、“霧の生徒会”が立ちはだかります」。
新キャラクター“霧の生徒会”の登場は、本作最大のトピックだ。原作コミック「蒼き鋼のアルペジオ」にも登場する勢力だが、本劇場版に登場する意図は、「パート2を作るにあたり、お客さんが最も望んでいるのは何かということを考えたときに、それは『もっとメンタルモデル(艦船が擬人化した美少女型のアバター)を見たい』ではないかという結論に至りました。メンタルモデルをどんどん登場させるためのシチュエーションとして、一度に大勢のメンタルモデルを登場させられる“霧の生徒会”に着目しました」と明かす。
テレビシリーズではあえて描かなかった部分も、映画ならではの新要素として組み込まれた。それは、群像ら以外の、窮地に立たされている人類側の動向だという。「テレビシリーズでは岸誠二監督の『お客さんにとってストレスのかかる画は避けたい』という意向からあえて描写をNGにしていましたが、劇場版ならそれが効果的に見せられる。群像たちは軍からの支援を受けているので、食料などに困ることはありませんが、一般の人々はそうではない。各地のエネルギー問題も深刻です。そうした設定を改めて描くことによって、シリアス度やSF度がアップしています」。一方で「重たい話ばかりではなく、水着のタカオたちのカットも増えています(笑)。テレビシリーズを面白いと思ってくださった視聴者の方々には、間違いなく楽しんでいただける続編に仕上がっていますよ」と、本作の出来ばえに自信をうかがわせた。
また、映像面では艦隊戦に重点を置いているという。これはテレビシリーズ終了時にファンから寄せられた「艦隊戦をもっと見たい」という声に応えたため。「今回は、艦船同士の戦いをおなかいっぱい堪能できるようにしました。メンタルモデルによる生身の戦いは適度にして、艦船の砲撃戦・メカアクションをたっぷり盛り込んでいます」。
サブタイトル「DC」の意味を聞くと、「たくさんの意味がありますので、解釈は視聴された皆さんにお任せします。というより、すでに皆さんが予想されているものが概ね当たりなんです。それらすべてを内包している、という意味合いで『DC』としました」とニヤリ。そして最後に、「最初から最後までメンタルモデルが大活躍するので、純粋に楽しく見ていただける作品に仕上がっています」と見どころを総括した。
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