ル・カレ原作をP・S・ホフマン主演で独自に昇華 「誰よりも狙われた男」アントン・コービン監督に聞く
2014年10月16日 19:30
[映画.com ニュース]世界的な写真家として知られるアントン・コービンが、2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンさんを主演に据え、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレ氏のミステリー小説を映画化した「誰よりも狙われた男」が10月17日公開する。コービン監督のスタイリッシュな映像感覚と、伏線に伏線を重ねた繊細なストーリーテリングでル・カレの世界を独自に昇華した、知的なエンタテイメント作だ。残念ながらホフマンさん最後の主演作となった本作と、ホフマンさんとの撮影をコービン監督が振り返った。
原作はル・カレ氏が2008年に発表した傑作ミステリー。テロ対策を軸にした9・11以降の現代社会の諜報戦を、リアルに描く。ドイツ・ハンブルクの諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマンは、イスラム過激派の容疑で国際指名手配中の青年イッサが密入国していることを知る。ドイツ諜報界だけでなくCIAも動き出すなか、バッハマンはイッサを泳がせることで、テロリストへの資金支援に関わる大物を引きずり出そうと目論む。
「現在、対テロ戦争だと叫ばれる中、9・11後の世界はアメリカだけでなく世界中で状況が変わった。この物語でひかれたのは、どれだけ我々の日常生活に反映され、簡単に人を判断し、全てを白か黒かではっきり見ているというところだ。この映画は白か黒かではなく、様々なグレーの部分が中間にあり、非常に人間味豊かな物語なのだ。多くのアメリカ人はそのような見解を持たない。彼らは常に“正しいか間違っているか”瞬時に決めるのだ。私にとって、このように私たちの日常生活に影響を与える仕事をすることこそ重要だと感じていたんだ」本作の映画化を決めた理由を明かす。
ホフマンさんが演じるバッハマンは、酒とタバコを手離さず、組織との軋れきと闘いながら、己の信念を貫こうとするスパイ。孤高に生きる人間ならではの凄みや哀愁、人間臭さを、ホフマンさんの持つ深みで見事に体現している。
「彼は映画の中で恐ろしいほど完璧で、これほどまでに素晴らしい出来になるとは予想もしていなかった。彼はもちろん素晴らしい役者だが、実際にその瞬間を目の当たりにし、何度も『今起こったことが信じられない』と感じたよ。彼は本当に役になりきっていて、早い段階で彼と完成した映画を見ている時に、僕の隣に座っていた彼が実際にスクリーンに映っている人と同一人物だということが信じられない、なんてこともあった。彼には役になりきる才能があり、彼の出演する殆どの映画でもそうだったと思うが、それを目の前で見るというのは本当に素晴らしい経験だった」と世界がその死を惜しんだ名優の仕事ぶりを称えた。
「誰よりも狙われた男」は、10月17日から全国で公開。
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