タイ歴代興収No.1「愛しのゴースト」監督&いとうせいこう、大ヒットに隠された秘密に迫る
2014年10月15日 13:50

[映画.com ニュース] タイ映画史上空前の大ヒットを記録した新感覚エンタテインメント「愛しのゴースト」のバンジョン・ピサンタナクーン監督が来日し、特別招待作品として上映された「第7回したまちコメディ映画祭in台東」の総合プロデューサー・いとうせいこうと対談を行った。
戦場からの若き帰還兵マークとその妻がつむぐ純愛を、恐怖と笑いと涙を織り交ぜて描いたヒューマンドラマ。口コミに火が付き、本国タイでは「アナと雪の女王」を超える観客を動員し、歴代興行収入第1位を記録した。いとうは、「典型的なロマンスであり、ホラーであり、コメディであり。とてもエネルギッシュでサービス精神にあふれた映画!」と絶賛する。
ピサンタナクーン監督いわく、「10年間映画を撮り続けてきたけれど、劇場で観客が手を叩いて大笑いし、興奮して椅子の上に立ち上がってしまう姿は初めて見た(笑)。生まれてこのかた1度も映画を見たことのなかった80歳のおじいちゃんなど、これまで映画に全く興味のなかった人々までたくさん映画館に来てくれたんです」と、まさしくタイ国民の“映画観”さえも変える作品となった。
原案はタイでは誰もが知る怪談「プラカノーンのメーナーク」で、ノンスィー・ニミブット監督作「ナンナーク」(01)など幾度も映画化されてきた物語。悲恋をラブコメディとして描くことにリスクは伴ったが、ピサンタナクーン監督は「観客が2人の愛を受け入れられるよう、セリフを何度も練り直した。最終的には観客がラブストーリーの部分に強く共感できたことが、大ヒットにつながったのではないかと思います」と自己分析する。
喜劇に風刺はつきもので、本作でも幽霊という“異形”のものを社会が“笑い”として受け入れることで、どこか爽快感さえ感じさせる。監督は、「このストーリーを考えた時、単純に2人の恋愛物語だけではなく、異端なものを受け入れるという視点も大切にしました。おばけはもちろん、社会的階層の違い、皮膚の色や人種の違い。なんでそういった差別があるんだろうという思いを直接セリフに乗せるのではなく、見た人々が自由に感じられるように、こっそりと忍ばせました」と隠された狙いを明かす。いとうも、「死者と生者という別のものを、ひとつの世界のものとして描くことはとても大きなメッセージ。矛盾を受け入れるというのは“笑い”の鉄則。本当によくできたコメディです」と舌を巻いていた。
「愛しのゴースト」は10月18日から全国公開。
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