佐々木昭一郎、20年ぶりの新作「ミンヨン」試写で「あらゆる倍音はモーツァルトに帰結する」
2014年10月9日 14:00
[映画.com ニュース]NHKで活躍し、「四季 ユートピアノ」(1980)「川の流れはバイオリンの音」(81)など手がけたテレビ演出家の佐々木昭一郎が10月8日、都内で行われた「ミンヨン 倍音の法則」の特別試写会に出席した。佐々木監督にとって本作は約20年ぶりの新作に加え、映画監督に初挑戦した意欲作だ。
本作は2010年の撮影開始以後、11年の東日本大震災などの影響から製作が難航していたが、幾多の困難を乗り越え完成にこぎつけた。モーツァルトを愛するソウルの大学生・ミンヨンが日本を旅し、人々と交流する様子を、音楽を通してみずみずしく描いた。
交響曲第41番“ジュピター”をはじめ、ボルフガン・アマデウス・モーツァルトの名曲が彩る。佐々木監督はその魅力を「あらゆる倍音はモーツァルトに帰結する」と熱弁し、「ジュピターやそのほかにも色々聞いたが、絶対真似できないと思った」と“神童”と呼ばれた作曲家に脱帽しきり。劇中楽曲の多くを演奏したチェコ・フィルハーモニー管弦楽団と、その指揮をとった武藤英明氏についても触れ、「世界一だと思う。倍音に満ち溢れている」「いろんな指揮者のジュピターを聞いたが、武藤さんのものが一番よかった」と手放しで絶賛した。
また、佐々木監督はおよそ20年におよぶ長きにわたる沈黙を破るきっかけを「2004年に早稲田大学のミンヨンに会いました。2006年にもう一度会いまして、その時映画を作るのならこの人と思った。それですぐ台本を書いた」と告白し、「声と発声が素晴らしかった。顔立ちと立ち姿が素晴らしい」と当時まだ学生だった主演女優を称えた。
さらに、佐々木監督は映画監督業について「大芸術家か。いや、違う。職人か。違う。詐欺師か。それも違う。映画監督とは、迷惑をかける仕事」と持論を展開。スタッフ・キャストに迷惑をかけたと謝罪したうえで「呼ばれたことがないので、映画監督と呼ばれるのは恥ずかしいけど、これから喜びがわいてくるのかな」と照れ臭そうに目を細めていた。
「ミンヨン 倍音の法則」は、10月11日から岩波ホールほか全国で順次公開される。
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