井上真央「アンパンマン」声優挑戦で受け継いだ、やなせたかしさんの遺志
2014年7月4日 12:45
[映画.com ニュース]女優の井上真央が、故やなせたかしさん原作の人気アニメ劇場版シリーズ第26作「それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い」(7月5日公開)で、アニメ作品の声優に初挑戦している。幼少の頃からアンパンマンが大好きだったという井上が声を担当したのは、新キャラクター“りんごぼうや”。憧れの存在だったやなせさんとの対面を果たすことがかなわなかった井上だが、作品を通して故人の遺志に触れ、思いを新たにした。
今作は、やなせさんが手がけた最後の原案作。東日本大震災発生後に復興三部作として取り組み、2012年の「それいけ!アンパンマン よみがえれバナナ島」が復興、13年の「それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ」が希望、そして今作が望郷と故郷の再建をテーマに掲げている。
井上が演じた“りんごぼうや”は、空に浮かぶ美しい島「アップルランド」に住む、格好いいヒーローに憧れる元気いっぱいの男の子。大切なふるさとを守るために、“魔法の種”を探して奮闘するという役どころだ。これまでアニメの声優経験がなかったことが意外にも思えるが、「声のお仕事はしたいなと思っていましたが、声優に関しては自分にとってハードルが高い感じがあったので、そうそう簡単にお引き受けできないなという気持ちがあったんです。ただ、いつの日か声優のお仕事を経験してみたいなと思っていたのと、今回のこのお話には、ご縁を感じたのでやらせて頂きました」と明かす。
縁というのは、今年1月に放送されたNHKスペシャル「みんなの夢まもるため~やなせたかし“アンパンマン人生”」でナレーションを務めたことにある。“りんごぼうや”の前向きなイメージとも合致するため、製作サイドからオファーを受けた。「アンパンマンの声優の皆さんは長年務めていらっしゃるベテランの方ばかり。私は初挑戦で男の子役だったので難しいという思いはありました。ただ、脚本を初めて読んだとき、良い作品だなあって純粋に感じたんです。やなせ先生は旅立たれましたが、残されたメッセージを受け継いでいかなければと思ったときに、自分がこうして関われることが嬉しかったです」。
当初抱いていた不安は一掃され、劇中では井上が声を務めていることを忘れてしまうほどに、伸びやかで元気いっぱいの“りんごぼうや”になりきった。実写作品で女優として演技をするときと大きく異なったのは、「とにかくおなかに力を入れる…ということでしょうか」と振り返る。さらに、「皆さんが張りのある、聞き取りやすい言葉を入れているなかで、私だけが普通のトーンでいって悪目立ちしないように気をつけました。トーンだったり、語尾だったり、息遣いももちろんですが、基本的に聞き取りやすさを意識するなかで、おなかに力を入れた方が声は作りやすかったです」と笑みを浮かべる。
アンパンマンといえば、あらゆるシーンにちりばめられている含蓄あるセリフが、子どもだけでなく大人の心の琴線にも触れることがしばしばある。今作でいえば、アンパンマンの立ち向かう姿勢を目の当たりにした“りんごぼうや”が、「格好悪くたって、泥だらけだって、誰かを助けるために頑張るのが本当のヒーローなんだ」と学んでいくくだりに象徴される。デビューしてから既に20年以上が経過した井上にとって、今も忘れることのできないセリフはどんなものなのだろうか。
「朝ドラで主演させていただいた『おひさま』は素敵なセリフが多かったですね。『女性は太陽だからね』というものもありましたし。なかでも、『忘れずに幸せになりたいよね』というセリフがすごく好きでした。あの当時は戦争がありましたし、終戦を迎えても自分たちが幸せになっちゃいけないんじゃないかという思いもあったのでしょうね。放送が東日本大震災の時期と重なっていましたし、『決して忘れてはいけないけれど、でも幸せになることも忘れてはいけない。だから、忘れずに幸せになりたいね』という意味が込められたこのセリフが強く印象に残っています」
やなせさんの熱い思いに触れ、8月には2015(平成27)年放送の大河ドラマ「花燃ゆ」がクランクインする。主演の井上は、幕末の思想家である吉田松陰の妹・文(ふみ)に扮する。物語は、文(のちの美和子)が久坂玄瑞(東出昌大)の妻となり、激動の渦にある長州藩の運命に翻ろうされながら、新たな時代へと、松蔭の志を引き継いでいく姿を描く。撮入まで約2カ月、井上はいま何を思うのか。
「朝ドラで10カ月間にわたり同じ役を演じさせていただきましたが、さらに長い期間、ひとりの人物を演じることについて『どうなるんだろう』という期待と不安が入り混じっています。座長として自分が引っ張っていく自信は全くありませんが、本当に大勢の方々がかかわる作品になるので、頑張るのはもちろんのこと、現場でどれだけぶれずに立っていられるか。それが、これからの長い長い1年で、私にとっての勝負なのかなという気がしています」
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
コンコルディア Concordia NEW
“20年間、犯罪が起きていない町”で殺人事件が起きた――熱烈にオススメしたい社会派AIサスペンス
提供:hulu
十一人の賊軍
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
知らないと損!映画料金が500円になる“裏ワザ”
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーンに急いで!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス
【最悪の最後、じゃなかった】最高の最終章だった…エグいくらい泣いた感動体験、必見!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
レッド・ワン
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。