インド映画界が誇る大女優シュリデビ 復帰作「マダム・イン・ニューヨーク」を語る
2014年6月26日 11:25

[映画.com ニュース]ボリウッドの大スターとして知られ、インド映画史100年国民投票で1位を獲得するほどの人気を誇る女優のシュリデビが、結婚引退後15年ぶりに銀幕復帰した「マダム・イン・ニューヨーク」が6月28日公開する。年齢を感じさせないゴージャスな美ぼうはそのままに、妻や母という家庭での役割と自己実現の間でゆれる等身大の女性を演じた大女優に話を聞いた。
趣味の菓子づくりは近所から注文が入るほどの一級品、家族のために献身的に尽くす主婦シャシだが、英語ができないことを子どもや夫からからかわれ、コンプレックスを抱いていた。そんなシャシが、姪の結婚式の手伝いで一人ニューヨークに旅立つことに。様々な困難に遭いながらも、現地で家族に内緒で英語学校に通い、様々な国から集まったクラスメイトに囲まれ、自分自身を取り戻していく。
映画プロデューサーの夫の友人であった、新鋭女性監督ガウリ・シンデーの脚本を読み、出演を即決。「母であること、妻であること。それは私だけでなく、多くの女性が共通することです。夫や娘がこの映画のように自分を扱っていないとしても、ほかにも多くのこと、献身的な母であり、妻であるならば誰しもが心を寄せる部分があると思うのです」と女優復帰作に本作を選んだ理由を語る。
ニューヨークを舞台にし、登場人物たちの心の機微が伝わる都会的なドラマとして仕上がっている。きらびやかなダンスシーンに乗せ、センチメンタルな男女の恋愛を描いた王道のボリウッド映画とは一味違った趣だ。「この映画はメッセージの伝え方がモダンだと思うのです。いわゆるメロドラマに走るわけでもなく、喜怒哀楽を激しく表現するわけでもない。また、長いセリフ回しがあるわけでもありません。ですから、さりげなさ、その繊細さがこの映画の美しさなのです」
(C)Eros International Ltdシャシは英語学校に通ったことで、新たな世界への一歩を踏み出したが、4歳から子役として活躍してきた大女優の人生の転機はいつだったのだろうか。「私の人生は子どもの頃からスタジオと家の往復、それ以外は録音スタジオやリハーサルスタジオに通い、会う人間はメイクアップやクルー、監督などの仕事仲間だけでした。ところが結婚して、それ以外の人と知り合う機会ができました。八百屋で子どものために野菜を選ぶ、学校の運動会に参加する、そういったことが私の人生が変えたのです」と“普通”のお母さんになれたことに喜びを感じたという。
インドでは輪廻転生の考えを重んじるそうだが、もし次の人生があったら?と尋ねると「次の人生も、女優のシュリデビ以外別の人生は送りたくありません。特に、結婚後は今と同じ、夫も子どももまったく同じ人がいいですね。人生唯一変えたいことは母の病だけです。あとは神が私を見守ってくれたのだと思います。そして、ファンの方々に強さをいただきました」と謙虚に語る。長年尊敬する女優はメリル・ストリープ。「本物の才能があって、多彩な役を演じられる女優だと思います。年を重ねたら、彼女のように演じたいです」と大きな瞳を輝かせながら話した。
「マダム・イン・ニューヨーク」は6月28日からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。
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