元シアターN渋谷支配人・近藤順也、パンクロックから学んだ映画館の姿
2014年3月14日 14:05
[映画.com ニュース] マニアックな作品を紹介し、東京・渋谷を代表するミニシアターのひとつとして親しまれながら、昨年12月に閉館した劇場シアターN渋谷。同館の支配人を務めた近藤順也氏は、20代で出合いヒーローとなったパンクロックバンド「TEENGENERATE」から吸収したパンクな姿勢で、映画と向き合ってきた。そんな近藤が始めてメガホンをとり、長年温めてきたTEENGENERATEのドキュメンタリー「GET ACTION!!」を完成させた。
1990年代、TEENGENERATE はFink.、Fifi.の杉山兄弟を中心に、約3年という短くも太い時間を駆け抜け、日本のロック界に揺さぶりをかけた。海外ではアメリカをはじめ多くの国で注目を集め、年間80本を超える欧米ツアーを敢行しながらも、日本ではスポットライトを浴びることはなかった。
近藤監督はシアターN渋谷でさまざまな音楽映画を上映しており、かねて「どんなバンドでもドラマがある。TEENGENERATEは、自分がすごく影響を受けたバンドなので、記録できるチャンスがあったら絶対したいと思っていた」。2000年代後半、ドキュメンタリー化企画が持ち上がったものの、「自分の中で物語の締めが思いつかなかった」と形にはならなかった。しかし、劇場閉館にともない、ドキュメンタリー「kocorono」やミュージックビデオを手がけてきた川口潤ら、「世の中に埋もれているものに光を当てたい」という思いを持つ仲間とともに製作に踏み切った。
音楽映画だけではなく、「ホステル」「ヒルズ・ハブ・アイズ」「マーターズ」といったカルトホラーから、「ベルフラワー」などの異色作を紹介し続けてきたシアターN渋谷。周囲におもねることのない軸は、TEENGENERATEと重なるものがある。「ミニシアターブームがあり、そのあとシネコンができてミニシアターが厳しくなった。そんななか、渋谷はいろいろな劇場がカラーづけされていて、シアターN渋谷って必然的にホラー、カルト作品を紹介する立場になりましたが、基本的に自分はそういうものが好きなんだと思います。そうなったのもTEENGENERATEやパンクロックの影響かもしれないですね」
「TEENGENERATEと出合った学生のころは、バンドは日本で知られていなくて、音楽専門雑誌では当時流行っていたブリットポップばかり紹介されていました。雑誌を読んでいるだけだと、TEENGENERATEの情報は入ってこないし、ライブハウスやレコードショップに足を運ばないと出合えないんですよ。受動的ではダメ、そういうことをTEENGENERATEが教えてくれました。シアターN渋谷もそういう映画館だったと思います。結果的にテレビでは紹介されない映画ばかりでしたが、シアターN渋谷にくればチラシと予告編がある。圧倒的にリピーターの方が多くて、作品への反応はやってみないとわからない。映画館ってこういうことがまかり通るので面白いんです」
「GET ACTION!!」は、3月15日から東京・新宿シネマカリテで劇場公開。
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