特殊部隊最大の惨事描く「ローン・サバイバー」、原作者自ら「事実を描いている」と力説
2014年2月28日 12:20
[映画.com ニュース] 米映画「ローン・サバイバー」の原作者であるマーカス・ラトレル氏が来日し2月27日、都内で行われた特別上映会に出席した。かつてラトレル氏が所属した米海軍特殊部隊ネイビーシールズがアフガニスタンで展開し、のちに創設以来最大の惨事と言われた「レッド・ウィング作戦」を映画化。ラトレル氏は本作の監修にかかわっており、「映画としてハリウッド的に演出された面もあるが、私たちが実際に体験した事実をしっかり描いている」と力説していた。
映画は2005年6月、アフガニスタンの山岳地帯で偵察活動中のシールズ隊員4人が、ある判断ミスから200人を超すタリバン兵の攻撃にさらされ、ラトレル(マーク・ウォールバーグ)ただひとりが奇跡の生還を果たす姿を描く。共演はテイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナら。「キングタム 見えざる敵」のピーター・バーグ監督がメガホンをとった。
俳優の別所哲也を聞き手に、マイクを握ったラトレル氏は「この作品で戦争を肯定したり、軍のプロモーションを行ったりするつもりはまったくありません。私たちが今もなお持ち続けている同胞愛を描いた作品なのです」。次々と決断を迫られる戦地の状況を「結果の良し悪しは別にして、決断をしないというのは一番避けなければいけないこと。そして、一度決断したら、それを全うするのが軍人の仕事なのです」と説明した。
劇中では作戦中に遭遇したヤギ飼いに対する判断が、命運の分かれ道として描かれており「私は現実主義者なので、もし時間が戻ったら…と後悔はしていない。多くの仲間を失ったが、彼らは仲間の隣で戦って、誇り高く死んでいった。それが戦士の死に方なのです。もちろん、今でも仲間が生きていたらと思うことはあります」と胸中は複雑。それでも「黒とも白とも区別できない、グレーゾーンで命をかけて戦うのが戦争だと思います」と話していた。
ラトレル氏は本作の原作である「アフガン、たった一人の生還」を執筆後、06年に海軍十字章を受章。07年に一等兵曹の位で退役すると、10年にはレッド・ウィング作戦で命を落とした同志たちに敬意を表し「ローン・サバイバー財団」を設立し、米軍兵士とその家族に、教育、リハビリ、社会復帰の機会を提供する活動を行っている。
「ローン・サバイバー」は、3月21日から全国で公開。