石井岳龍監督ら、偉大なオリジナルに挑んだ「ネオ・ウルトラQ」は「精神を受け継ぎつつも新しい」
2013年12月10日 12:46
[映画.com ニュース] 1966年に放送された伝説的テレビドラマ「ウルトラQ」を、円谷プロダクションとWOWOWの共同製作で“セカンドシーズン”としてよみがえらせた「ネオ・ウルトラQ」の特別上映Part2が12月9日、東京・有楽町のTOHOシネマズ日劇で行われ、演出を務めた石井岳龍監督、中井庸友監督、出演の村上淳がトークショーに出席した。
「ウルトラQ」は、ユニークな怪獣や宇宙人が次々に巻き起こす怪奇現象を通じ、環境破壊や人間性の喪失などに鋭く切り込み、その後の「ウルトラマン」シリーズの礎(いしずえ)となった作品。舞台を2013年に移した「ネオ・ウルトラQ」には、石井監督と中井監督のほか、入江悠監督、田口清隆監督という気鋭の映像作家が集まり、全12話の全く新しいドラマシリーズを誕生させた。
Part2となる特別上映では、中井監督作「ファルマガンとミチル」、石井監督作「パンドラの穴」、田口監督作「もっとも臭い島」、モノクロのオリジナル「ウルトラQ」をハリウッドのデジタル技術でHDリマスター&カラー化した「総天然色ウルトラQ」から「海底原人ラゴン」を上映する。
リアルタイムで見ていたという石井監督は、「初めてお茶の間に怪獣がやってきたという衝撃的な番組だった。放映日は飛んで帰り、テレビにかじりついて見ていた」という。それだけに、「尊敬している作品なのでものすごいプレッシャーもあった。しかし、精神を受け継ぎつつも何か新しいものを作ってほしいという意図だったので、ネオも不思議な世界を展開している」と自信をのぞかせた。
中井監督も、「『ウルトラQ』はオーソン・ウェルズを彷彿させるような大人向けな作品だったけれど、子どもが見ても吸引力があった」と述懐。「パンドラの穴」にゲスト出演する村上は、「とても偉大なものにどう向き合ってやるのかを問われた。だけど、怪獣のいる異世界を作り上げるって楽しい。役者冥利に尽きる。素晴らしい先人たちが築いたものを途絶えさせてはいけないという志をもっていつも現場に行くけれど、今回も大きいものに挑んだなと思う」と達成感をにじませていた。