ザ・ビートルズを支えた元秘書が明かす11年「人生を見せてもらった」
2013年12月6日 14:05

[映画.com ニュース] 「本当に楽しくて幸せだったの」--少女のころと変わらぬチャーミングな笑顔で、世界的ビッグバンド「ザ・ビートルズ」の秘書時代に思いを馳せたフリーダ・ケリー。就職、結婚、出産という女性としての人生を送る一方で、ザ・ビートルズの成長を見守り続けた。バンドの解散後、取材に応じることはなかったが、50年を経てはじめて当時の記憶を紐解いた。スターダムとは関係なく、真しに4人と向き合った彼女だからこそ見ることができたザ・ビートルズの姿が、ドキュメンタリー「愛しのフリーダ」(ライアン・ホワイト監督)で解き明かされる。
1961年、イギリス・リバプール。少女フリーダ・ケリーは、会社勤めのOLから、若手バンド「ザ・ビートルズ」の秘書へと転身。弱冠17歳にしてファンクラブの運営を任され、世界へと羽ばたく4人を揺るぎない愛で、支え続けた。そして72年、ファンクラブは閉鎖され、華やかな世界との関係を終える。
11年をバンドと過ごしたケリーにとって、メンバーはビジネスパートナーである以前に、友人であり家族に等しい存在だった。70年の解散後、ケリーのもとには何度となく取材や書籍化の話が舞い込んだが、ケリーはメンバーのプライバシーを尊重し、「子どもや7匹の動物の世話をする主婦の生活に戻って、仕事も普通の会社に勤め始めてすべてを変えてしまった。ファンクラブが終わった時点で、私にとってはそこでの世界が終わったの」と胸の奥にしまい込んだ。それでも、バンドと世界中のファンを結んだケリーにとって、当時の記憶はかけがえのないものであり続け、予想もしない形で世に出ることとなる。

本作は、ケリー自身の言葉によって、キャヴァーン・クラブでのバンドとの出合いから別れがつづられる。急成長を経て過渡期に差し掛かったバンドは、いかにして多くの問題を乗り越えていこうとしたのか。スクリーンを通じて、メンバーやスタッフとのエピソード、ケリーが発行していたファンクラブの会報誌など、貴重な資料に触れることができる。そのなかで浮き彫りになるものは、ティーンエイジャーのケリーは、純粋な友情ゆえに、バンドとその音楽に夢中になっていったということだ。「忠誠心は長い間に培って芽生えるもの。ザ・ビートルズに対してだけではなく、誰に対しても真しに付き合ってきたし、一緒に働くなかで彼らも同じように接してくれたことで、友人としての関係が築き上げられたの。自分から一方的に捧げるのではなく、相手も同じように向き合ってくれたから、私も心から尽くすことができてきずなが強くなったんだわ」
ともに過ごした11年で、ケリーは華やかな絶頂期の裏側も目撃した。彼らとの関係性や秘書としての経験は、彼女の人生にも大きな影響を与えている。「ザ・ビートルズが名声を手に入れるため、苦難の道を通る様子を側で見せてもらったことで、思慮深く人間的になったと思うの。名声や富だけではない、人間としてあるということかしら。彼らとの10年はものすごく楽しくてあっという間だったけれど、(楽しい時間は)ずっと続くはずはないということ、その後に待っているもの、人生を見せてもらったわ」
「愛しのフリーダ」は、12月7日から全国で公開。
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