女“性”労働について考えるドキュメンタリー「レッドマリア」公開 キョンスン監督が語る
2013年10月31日 08:30

[映画.com ニュース] 韓国、日本、フィリピンの過酷な労働環境下に生きる女性たちに密着したドキュメンタリー映画「レッドマリア それでも女は生きていく」が11月2日、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開される。これまでも、マイノリティの視点にこだわった「ダンディライアン」(99)や「パトリオットゲーム」(01)、3年の歳月をかけて自身の家族を描いた「ショッキング・ファミリー」など、社会問題を扱ったドキュメンタリーを数多く手がけてきたキョンスン監督が来日し、最新作について熱く語った。
フィリピンの元慰安婦やセックスワーカーの少女、韓国の移住労働者や非正規労働者、東京の公園でホームレスとして生きることを選択した女性。グローバル化や高度資本主義が脈々と進む中、それぞれの場所でたくましく生き抜こうとする女性たちの姿を見つめる。
キョンスン監督は、「私も女性として生まれてきたので、女性問題はいつか撮らざるをえないものだと思っていました。世界的に見てこれだけ資本が発達しても、根本的に女性の地位が変わっていない。洗濯機や炊飯器が良くなったというだけのこと。日本や韓国は大きな経済成長を遂げたけれど、アジアにはまだまだ貧困な国々が多い。映画を撮るなら、アジア全域にまで視野を広げないといけないなと思いました」と3カ国での製作を決意した。
それぞれの国の経済レベルは異なるが、キョンスン監督はあくまで“平等な視線”で女性たちを見つめることに徹した。「目で見える貧困の違いは国家によってもちろん違う。フィリピンでは1日1日をどう生き延びるか。韓国の場合だったら、どこでどんな家に住もうか、どんな化粧をしようか、どんな服を着ようかと考えるのかもしれない。ただ、どの国家にも女性への不平等や差別が、文化や社会システムの中に存在するということに興味をもったのです」。
女性という“性”と労働の関係性についても、「男性の反応は多様でした。女性問題に関心の強い進歩的な男性から『考えることが多くて頭が痛い』というような感想もあれば、若い方から『意味が分からない』という意見もあった。セックスワーカーや慰安婦の問題には敏感に反応するけれど、女性自体を理解できていなかった男性が多かったように思います。一方で、女性自らが“女性はこうあるもの”と規定してしまっている風潮もあるんです」と現実を語る。
日本でも女性の出生率の低下が危惧されているが、「人間は社会的な動物。出生率の低下が“女性問題”とされること自体、不愉快に感じています。韓国の家父長制度では、女性は子どもを産む子孫繁栄の道具として見られている。女性の権利が認められて100年も経っていないけれど、いまだに男性社会が女性の進出を窮屈に感じているところもあるのかもしれない。女性は家事をやりながら外での仕事もこなすという、二重の生活を強いられる。結婚して離婚し、子持ちのシングルマザーとなった女性が仕事をできる環境も充分に整っていない。これからは、そういった社会のシステム自体を大きく考え直していかないといけないと思います」と警鐘を鳴らした。
本作では、女性のお腹が重要なモチーフとして登場する。「子どもの頃から女性のお腹に興味があったんです。銭湯などで見知らぬ赤ちゃん、お母さん、おばあちゃんのお腹を見て、色々なお腹があるんだなって。大人になるにつれお腹は恥ずかしいものだと認識していくけれど、お腹は生物の起源。生理に始まり、子どもを産んだり産まなかったり産めなかったり。女性にとっての労働の始まりでもある。労働を描いた本作と、女性のお腹のイメージが自然とリンクしていったんです」。
これまでの作品群から、すっかり社会派監督としてのイメージが定着しているキョンスン監督だが、「私自身、楽しく生きていたいんです。それを映画で訴えたいだけ。たまたま私の映画が真面目で鋭敏な題材が多いので使命感に満ちた社会派と思われがちですが、特に信憑性があるものを目指しているわけじゃないんですよ」と本音を明かした。
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