「歌う女たち」トルコのレハ・エルデム監督「多くの入口があり、多くの層がある映画」と語る
2013年10月23日 22:00

[映画.com ニュース] 東京・六本木ヒルズで開催中の第26回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「歌う女たち」の記者会見が10月23日開催され、レハ・エルデム監督が出席した。
地震予知で住民退去勧告が発令された島が舞台。世紀末的な状況に、人間社会における苦難や信仰の形などが投影され、世を救うかのように歌う女たちの姿が独創的な映像で描かれる。
詩的で哲学的な作風で知られているが、監督にとって映画はどういうものかという問いには「私の映画は社会に対するコメントではなく、一人の人間として人間の問題を扱い、人間についての映画を撮り続けています。答えを出す映画は好きではなく、質問をする方が好きなのです。答えを出すということは殺すこと。わたしは尋ねることで、頭の中の考えが開かれていくのです」と語る。
劇中で行方不明の子どもを探す母親が登場するが、「30年以上続き、クルド人とトルコ人3万人以上が亡くなった戦争で、子どもを失ったたくさんの母親がいます。イスタンブールのストリートには、今も母親たちが座り込みをしています。トルコ人は彼女たちを見て、そう遠くはない過去を思い出すのです」と戦争で刻まれた傷跡について語った。
舞台となる島がトルコを表しているかと問われると「そういうことかもしれません。あるいは世界そのものといってもいいかもしれません」。女性たちが歌う歌については「トルコに古くから伝わる歌ではなく、子どもじみた簡単な言葉による単純な歌であってほしいという理由で、役者たちと作り上げたものです」と説明した。
難解ともいえる作品だが、どんな観客を想定しているかとの問いには「映画そのものに隠されたメッセージはありません。入りたい門から入っていただいて、出たい門から出ていただければと思います。多くの自由な入口があり、多くの層がある映画なのです」と観客の解釈次第だと話した。
東京国際映画祭は10月25日まで開催。
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