「あの頃、君を追いかけた」ギデンズ・コー監督が影響を受けた日本文化
2013年9月13日 18:00

[映画.com ニュース] 「スラムダンク」や「ドラゴンボール」など若い頃に夢中になった作品として、日本の30代と変わらない答えが返ってくる。台湾でNo.1ヒットを記録した青春映画「あの頃、君を追いかけた」のメガホンをとったギデンズ・コー監督。自身の体験に基づいて製作された本作の中にも、日本文化の影響が色濃く見られる。(取材・文・写真/黒豆直樹)
台湾で暮らす高校生の主人公とクラスメイトたちの恋や青春を、コミカルかつ瑞々しく描いた本作は、台湾で社会現象ともいえる大ヒットを記録した。ギデンズ監督は台湾のベストセラー作家で、今回は自らの自伝的小説を「これを撮るのは自分しかいない」と思い立ち、初めて映画監督に挑戦。ギデンズ監督の本名は主人公と同じコー・チントンで、「他の登場人物も全て実名。起きていることもほぼ100%実際にあったことだよ」と語る。
キャスティングからカメラのアングルまで、自分のイメージを貫き通した。ヒロインのチアイー役のミシェル・チェンは自ら見出し、さらに主人公のコー、つまり若き日の監督自身を演じる俳優は、候補者の中からミシェルに選ばせた。「コーを演じたクー・チェドンには『実際にミシェルと恋に落ちろ』と命令したよ。撮影期間中はミシェルではなく、ずっとチアイーと役名で呼ばせるようにしていたんだ。残念ながら、この共演をきっかけに彼らがカップルになることはなかったみたいだけど(笑)」。

冒頭に挙げたものだけでなく、主人公たちが日本文化に強く影響を受けているシーンが随所に見られる。ギデンズ監督が親日家というだけでなく、台湾の若い世代にとって日本の作品を楽しむというのはもはや当たり前のことなのだという。
「どんな映画にするか? と考えたときも、まず考えたのは台湾にはすでに多くの学園青春映画があるけど、同性愛に悩んだり、政治体制への反抗心を絡めたり、暗いトーンの作品が多いということ。でも僕が撮りたいのは、おバカで能天気な学生生活。だから参考にしたのは日本の作品。『69 sixty nine』(村上龍原作・妻夫木聡主演)とかね」。
数ある青春エピソードの中から最も印象深いシーンを尋ねると、「コーが天下一武道会を開くシーンだね。もちろん『ドラゴンボール』の影響だよ」という答えが返ってきた。コーのこうした子どもじみた行動によってチアイーの心が少しずつ離れていくさまが描かれるが、監督にとって苦い思い出とセットになってより心に強く刻まれたということだろうか。
「うん、実際にこれで僕らの恋は難しい状況に陥ったからね。でも映画では描いていないけど、この半年後に僕は2回目の天下一武道会を開いたんだ(笑)。小説家も映画監督も世の中にはたくさんいるけど、2度も天下一武道会を開いたのはきっと僕だけ。そういう意味で思い出深いんだ(笑)」。
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