竹中直人、“日本近代美術の父”岡倉天心を熱演「演じがいがあった」
2013年9月2日 20:15

[映画.com ニュース] “日本近代美術の父”といわれた美術運動家・岡倉天心の半生を描いた「天心」の完成披露試写会が9月2日、東京藝術大学の上野キャンパス・奏楽堂で行われ、タイトルロールを演じた竹中直人、共演の平山浩行、木下ほうか、神楽坂恵、渡辺裕之、主題歌を担当した石井竜也、松村克弥監督、同大学の宮田亮平学長らが舞台挨拶に立った。
法隆寺や興福寺の復興、東京藝術大学、日本美術院の創立に携わった岡倉の半生を描いた人間ドラマ。明治初期、東京美術学校(現・東京藝術大学)の校長に就任した天心が、横山大観や下村観山ら若き才能を見出し日本伝統美術の繁栄・存続に尽くす一方で、西洋画派と対立し苦境に立たされていく姿を描き出す。
竹中は、「明治の男でしたね。エネルギーに満ちあふれている男で演じがいがあった。また、共演者が素敵な方々ばかりでたくさんの刺激を受けた。最高でした」と充実した撮影の日々を述懐。さらに、「東京藝大に行きたくて2浪して多磨美に入ったので、今日は子どもに戻ったような気持ち。もう40年近くも前の遠い昔の話。いつのまにかジジイじゃな!」と明かし、笑いを誘っていた。
本作のために主題歌「亜細亜の空」を書き下ろした石井は、「今のアジアの情勢は決して良いとは言えないけれど、文化には韓国も中国も日本もなく、どこにも素晴らしい文化がある。天心が小さな町から空に向かって考えていた思いを、できるだけ彼の気持ちになって歌ってみようと作った曲」と語った。
宮田学長は当時の天心をイメージし、「『卒業式に何かやりたい』と嫁さんに話したら、新宿のオカダヤに走って夜なべして作ってくれた服。それからずっとお蔵入りだった」と自慢の衣装で登場。この日は天心の没後100年の命日であり、村松監督は「今日という日に奏楽堂で上映できることに感激している。リーマンショックや大震災があって何度も断念しかけたので、この日を迎えられたことは本当に奇跡。天心も横山大観も歴史上の人物だけど、生の人間だった。僕らと同じように苦悩してどん底に落とされ、はい上がっていく。そこに共感してほしかった」と熱く語った。
「天心」は10月5日から茨城で先行公開。11月中旬から全国で順次公開。
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