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「ハーブ&ドロシー」ドロシーさんが日本滞在で訪れたかった場所は?

2013年4月2日 21:00

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佐々木芽生監督とピーター・バラカン氏
佐々木芽生監督とピーター・バラカン氏

[映画.com ニュース] ニューヨークのアート収集家夫婦を追い、ロングランヒットを記録したドキュメンタリーの続編となる「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」の公開を記念し4月2日、東京・代官山蔦屋書店で佐々木芽生監督と音楽評論家のピーター・バラカン氏によるトークショーが行われた。

元郵便局員のハーブと図書館司書のドロシー夫妻は、半世紀以上にわたって集めた4000点以上ものアート作品を国立美術館に寄贈。そして、そこで収蔵しきれなかった作品を全米50州の美術館に寄贈するプロジェクトを計画する。今作ではコレクションを受け取った全米各地の美術館の反応や二人の人生のその後にスポットを当てた。

作品プロモーションのため、この日までドロシーさんは日本に滞在。77歳にして初のアジアへの旅行で、言葉の問題や時差ぼけなど到着当初は苦労していたと佐々木監督は明かす。「ドロシーがニューヨークでお気に入りだった吉野家とユニクロに行きたいというのが2大アジェンダでした。あとは、日本の伝統アートを見たいと。京都では金閣寺や龍安寺に行きました。ドロシーは行動力があって、疲れていてもじっとしているのがいやなタイプ。一刻も無駄にしたくないと金閣寺の朝9時のオープンに合わせて訪れたいと言ったり、都をどりを見て気に入っていました」とドロシーさんはエネルギッシュに日本滞在を楽しんだようだ。

前作のDVDコメンタリーを務めたバラカン氏は「ハーブとドロシーはいつの時代でも、売れていないアーティストの作品しか買えないが、自分たちがいいと思うものだけを買っている。第1作で一番印象深いのが、絵を見るハーブが前のめりになって、120%集中している姿」だと明かした。バラカン氏からハーブとドロシーのアートへの好みの違いを問われた佐々木監督は、「微妙に違うんです。ハーブは派手めで感覚的なもの、ドロシーはミニマルでシンプルな作品。その二人の審美眼が合わさったものがコレクションになった」と話す。

佐々木監督は今作製作にあたり、インディアナ、ノースダコタ、マイアミ、デラウェアなど50州のうち11州での取材を敢行した。バラカン氏は「かなり田舎の小さな、言い方は悪いけれど辺ぴな街の美術館がどこもきれいで、センスが良かった。アメリカの自治体はアート展示にお金を使ってるなという印象だった」と感想を語ると、佐々木監督は「実は自治体ではなくて、ほぼ民間です。政府からの援助が非常に少ないので、地元の資産家や企業を巻き込んで人を呼ぶ工夫をしている。特に子どもたちにアートを教えようとしています」と説明する。

アメリカの美術館ガイドはボランティアで、トレーニングされた優秀な人材がそろっているそうで、子どもたちに興味を持ってもらえるようにさまざまな工夫しているという。それを受けてバラカン氏は、「現代アートは学芸員の解説がないとなんだろう? と思っていたが、この映画を見てわからなくてもよいというのがわかった。大人になると既成概念が大きくなるから、そういうものを持っていない子どもに見せるのはいいこと」と持論を述べた。

ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」は公開中。

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